利回り星人@ぴろりです。
不動産投資において、物件の収益性を評価する指標として利回りが用いられます。
しかしながら、長期投資が基本となる不動産投資においては、これらの利回りだけ正確な投資の評価が難しいという現実があります。
そこで用いられる利回りが、全期間利回り(IRR)です。
全期間利回り(IRR)とは、投資期間中のすべてのキャッシュフロー(キャッシュインフローとキャッシュアウトフロー)を考慮して、投資家が投資した資金がどれだけ収益を生み出したかを評価する指標です。
全期間利回り(IRR)は、キャッシュフローのタイミング、投資金額、投資期間などを考慮した複雑な計算式で算出されますが、エクセルを使えば一瞬で解決します。
全期間利回り(IRR)は投資家にとって最重要指標であるため、不動産投資に取り組む上で、ぜひとも理解しておく必要があります。
そこで本記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、エクセルを使った不動産投資の全期間利回りについて、基本的な概念から具体的な計算方法までを解説します。
また、不動産投資において、利回りを見極めるためのヒントも合わせて提供します。
本記事を最後まで読めば、不動産投資の利回りについて達人レベルまで一気に到達できます。
では、始めましょう。
不動産投資の利回り計算は最重要だが問題もある
全期間利回り(IRR)の解説の前に、不動産投資の利回りの問題点を整理しておきましょう。
不動産投資の利回りは明確なルールがないため、ざっとこれくらいはあります。
各利回りを簡単に解説していくよ!
表面利回り(グロス利回り)とは?
表面利回りは不動産投資を評価する際に使用される最も単純な利回りです。
しかし、表面利回りは物件価格と年間賃料収入の比率を示すたけで、空室リスクや運営費(ランニングコスト)などを考慮していません。
=[満室家賃]÷[物件価格]×100
つまり、表面利回りは投資判断においては「役に立たない利回り」と言えます。
『驚愕の真実!不動産投資家が明かす表面利回りの落とし穴とは?』
ネット利回り(NOI利回り)とは?
ネット利回り(NOI利回り)は、物件の年間収入から空室リスクや運営費(ランニングコスト)など、諸費用を差し引いた純収益(NOI)を物件価格で割った利回りです。
=[相場家賃×入居率-ランニングコスト(運営費)]÷[物件価格]×100
=[NOI]÷[物件価格]×100
ネット利回り(NOI利回り)は、表面利回りよりも実際の投資収益を反映し、投資判断においてはより重要な指標です。
『表面利回りは忘れろ!不動産投資家必携のネット利回り(NOI)とは?』
実質利回り(FCR)とは?
実質利回り(FCR)は、そのワンルームマンションの家賃、入居率、運営に必要な経費。
そして、マンション購入にかかった諸費用までを計算しつくした利回りです。
=[相場家賃×入居率-ランニングコスト]÷[価格+購入諸費用]×100
=[NOI]÷[総投資額]×100
実質利回りを計算すれば、その物件を現金で買ったときの物件の収益力を掌握できます。
『不動産投資の成功は実質利回りの使い方次第!FCRの極意を伝授!』
自己資金利回り(CCR)とは?
自己資金利回り(CCR)は、物件の年間収入から、物件の年間収入から空室リスクや運営費(ランニングコスト)など諸費用を差し引いた純収益を自己資金で割った利回りです。
=[年間CF]÷[自己資金]×100
自己資金利回り(CCR)が高いほど、投資家の自己資金がより効率的に運用されたことを示し、投資家にとって有益な投資先である可能性が高いと言えます。
『自己資金利回り(CCR)で儲ける!成功する不動産投資の秘訣とは?』
不動産投資の利回りの問題点
しかしながら、これら4つの利回りは購入時の瞬間的なシミュレーションに過ぎず、購入5年後・10年後と続くわけではありません。
不動産投資は隠れたリスクが多くあり、利回りはゆったりと下がるのが普通だからです。
言い換えれば、購入初期の瞬間的な利回りが良好で、多くのキャッシュフローを得られていたとしても、その後の運営や売却の失敗で大損することもあるということです。
ここで登場するのが、全期間利回り(IRR)という考え方です。
不動産投資の全期間利回り(IRR)とは?
その不動産投資を実行すれば、購入・運営・売却の投資期間全体で、毎年どのくらいの利回りが期待できるでしょうか?
不動産投資の全期間利回りはこれを明らかにします。
全期間利回りとは、購入・運営・売却までを含めた「総合的な利回り」のことです。
全期間利回りを正確に算出することで、投資家は投資のリスクとリターンをより正確に評価し、将来的な収益を見据えた投資判断ができます。
まとめると、全期間利回りにおいては、以下の公式がなりたちます。
「全期間利回りの計算式:〇=▽ × □」と示すのが本ブログのパターンですが、全期間利回りの計算式は複雑怪奇なので割愛します。
全期間利回りはエクセルで簡単に計算できますので、それをマスターするほうが手っ取り早いです。
不動産投資の全期間利回り(IRR)の計算準備を始めよう
エクセルで全期間利回りを計算するために、3つのデータを用意します。
- 自己資金(初期投下資金)
- 毎年のキャッシュフロー
- 売却益
ここらからはワンルーム投資をつかって、実例で解説します。
『ワンルーム投資の鉄則!複数所有&分散投資が安心・安全な3つの理由』
不動産投資の自己資金を計算する
あなたは地方都市にある表面利回り8.2%の築10年の築浅ワンルームマンションを、融資を使って購入する予定です。
- 価格:1020万円
- 年間家賃:84万円
融資条件はこのとおりです。
- 融資金額:840万円(8割融資)
- 金利:2.425%
- 期間:30年
購入諸費用は100万円と仮定して、自己資金を計算するとこのとおりです。
=物件価格 + 購入諸費用 - 融資金額
=1020万円 + 100万円 - 840万円
=280万円
エクセル計算が苦手または面倒な方は、当ブログが開発した『ワンルーム投資専用シミュレーションソフト』を使うと簡単です。
エクセルの濃セルのところへデータ入力するだけで、自己資金が計算できます。
『1分で分析完了!不動産投資シミュレーション(エクセル)を使ってみて』
不動産投資の年間キャッシュフローを計算する
この不動産投資の運営条件はこう予測しました。
- 家賃下落率:年1.5%
- 年間売却価格下落率:年1.0%
- 運営費率:家賃の30%
- 年間ローン返済金:39.4万円
初年度の年間キャッシュフローを計算してみます。
=家賃 - 運営費 - ローン返済金
=840,000 -252,000 -394,362
=193,638円
『不動産投資の大損を回避!ワンルームマンションのキャッシュフロー計算方法』
同様に、各年のキャッシュフローを計算して表にまとめるとこのとおりです。
投資X年目 | 年間キャッシュフロー |
---|---|
1 | ¥193,638 |
2 | ¥181,038 |
3 | ¥168,627 |
4 | ¥156,402 |
5 | ¥144,360 |
6 | ¥132,499 |
7 | ¥120,817 |
8 | ¥109,309 |
9 | ¥97,974 |
10 | ¥86,809 |
この表もエクセルで簡単に計算できるよ。
でも、エクセルアレルギーの人は「ワンルーム投資シミュレーションソフト」を使ってね。
しつこい!
『プロなら常識!不動産投資シミュレーションをワンルーム投資に活かす方法』
不動産の売却益を計算する
あなたは10年後のワンルームマンションの売却価格と売却費用をこのように予測しました。
- 売却価格:930万円(年間売却価格下落率1%)
- 売却費用:35万円(売却価格の4%)
10年後のローンの残債(ローン残高)は624万円です。
不動産の売却益を計算します。
=(売却価格 - ローン残債) - 譲渡費用
=(930万円-624万円)-35万円
=271万円
『マンション投資は融資を味方に付けよ!税引き後売却益の計算方法はこう』
ついに、データがそろいましたね!
さあ、この不動産投資の全期間利回りをエクセルで計算してみましょう!
[本番]全期間利回り(IRR)をエクセルで計算しよう
この不動産投資の購入・運営・売却までの現金の流れをまとめます。
- 自己資金280万円で不動産投資に参入する(購入)
- 10年間で140万円の運用益を得る(運営)
- 271万円の売却益を得る(売却)
現金の流れをグラフにまとめるとはこのとおりです。
これをエクセルに入力して、全期間利回り(IRR)を計算するよ。
上図のエクセルでの全期間利回り(IRR)の計算範囲は「C1~C12」です。
C14セルに「=irr(C1:C12)」と入力しています。
B1は「280万」ではありません。「ー280万」です!
すると、エクセルは下図のように「IRR=4.52%」と答えを返します。
エクセルを使った計算結果から、
この不動産投資を実行すると、10年間全体で毎年4.5%前後の利回りが期待できることが分かります。
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不動産投資の全期間利回り(IRR)のまとめ
アカン。
この記事、理屈っぽくて全然意味不明やわ。
とりあえず、最後まで読んでくれてありがとう。
確かに謎の数字が出てきて、よくわからなかったと思う。
途中に出てきたリンクをたどれば、いつか読めるようになるよ。
この記事が分かるようになれば、不動産業者の餌食にはならないよ。
ガンバレ!
さあ、不動産投資の全期間利回り(IRR)をまとめるよ。
不動産投資の利回り(表面、ネット、グロス、実質、自己資金…)は購入した瞬間のシミュレーション結果にすぎない。
だから、全期間利回りを使って、不動産投資全体の利回りを考えることが重要なんだね。
全期間利回りの計算は、自己資金・キャッシュフロー・売却益の3つのデータが必要だけど、エクセルを使えば簡単に計算できるよ。
今回使った不動産投資(ワンルーム投資)の4つの利回りをまとめると、このとおりだよ。
政令指定都市の築浅ワンルームマンション投資は、こんなイメージかな。
インカムゲインがそこそこ得られるけど、売却価格が下がるためキャピタルゲインが少ない。
反対に、東京の築浅ワンルームマンション投資は、こんなイメージかな。
インカムゲインが得られづらいけど、売却価格があまり下さがらない(エリアによっては上昇する)ためキャピタルゲインが得やすい。
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