えっ!?
利回りは9%って言ってましたよね?
確かに利回りは9%ですよ。ほら!
でも、実際の手取り(キャッシュフロー)は60万円で、
購入諸費用に70万円使っているから、利回りはこうですよ!
へぇ~そうですか?
私の計算では9%なんですけどね。
不動産投資家と不動産業者の意見が合わないようですが、どちらの言い分も正しいです。
業者は表面利回り(グロス利回り)を優先するし、投資家は実質利回り(FCR)を優先するからです。
不動産投資で成功するためには表面利回りだけでなく、実質利回りを理解し、使い方をマスターすることが欠かせません。
なぜなら、実質利回りは不動産の購入に必要な諸費用や、物件所有中に発生するランニングコスト(運営費)など、必要な費用を考慮した上での利回りであるからです。
つまり、実質利回りは得られる収益を正確に把握するため大切な指標なのです。
この記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、実質利回り(FCR)をどのように利用すると効果的なのかを解説します。
初心者からベテランまで、不動産投資家にとって役立つ情報が満載です。
では、はじめましょう。
不動産業者が表面利回りを使う理由
不動産業者が表面利回りを使うのは、営業するに当たって表面利回りは非常に都合がいい利回りだからです。
不動産投資の利回りは「これを使わなくてはならない」というルールがありません。定義もあやふやで、これくらいはあります。
そして、表面利回り→ネット利回り→実質利回りと、下へ行くに連れて利回りは低下します。
だから、不動産業者は一番利回りの高い表面利回りを用いて、投資家を口説くのです。
へっへっへ。
兄さんこの物件は高利回りでお買い得でっせ。
実際、不動産業者は利回り10%を主張していましたよね?
『驚愕の真実!不動産投資家が明かす表面利回りの落とし穴とは?』
不動産投資家は実質利回り(FCR)を使うべき理由
実質利回りとは、そのワンルームマンションの家賃、入居率、運営に必要な経費。
そして、マンション購入にかかった諸費用までを計算しつくした利回りです。
実質利回りを計算すれば、その物件を現金で買ったときの物件の収益力を掌握できます。
実質利回りは、不動産投資用語でFCR(Free and Clear Return )ともいいます。
実質利回りの計算式はこのとおりです。
=[年間相場家賃×入居率-ランニングコスト]÷[価格+購入諸費用]×100
=[NOI]÷[総投資額]×100
実質利回りとよく似た利回りにネット利回りがありますが、ネット利回りはマンション購入にかかった諸費用を計算式に盛り込んでいません。
『表面利回りは忘れろ!不動産投資家必携のネット利回り(NOI)とは?』
つまり、それぞれの利回りを結果が高くなる順番にならべるとこうなります。
不動産投資の実質利回り(FCR)の計算方法
ここからは実践編です。
ワンルーム投資において、実質利回りを計算してみましょう。
あなたはこの条件のワンルーム投資を検討しています。
- 価格:1000万円
- 購入諸費用:70万円
- 年間満室家賃:90万円
- 年間相場家賃:84万円
- 入居率:95%
- ランニングコスト:20万円
購入諸費用の内訳はコチラの記事を参照してください。
『1000万円の中古マンションの購入諸費用は◯万円!その内訳は?』
ランニングコスト(運営費)はコチラの記事で。
『知らなきゃ損!マンション経営でかかる運営費(ランニングコスト)の正体』
さっそく、このワンルームマンションの実質利回りを計算してみましょう。
=[年間相場家賃×入居率-運営費]÷[価格+購入諸費用]×100
=[84万円×95%-20万円]÷[1000万円+70万円]×100
=5.6%
このワンルームマンションの表面利回りはそこそこですね。
しかし、オーナーチェンジの家賃を相場家賃に変更して、入居率、経費、購入諸費用を考慮すると、5.6%の利回りにすぎないことが分かります。
ショートコントでもめていたのもこの点ですよね?
冒頭の不動産投資家が主張していた利回りは実質利回りで、業者が主張していた利回りは表面利回りだったんだよ。
不動産投資の実質利回り(FCR)の使い方
実質利回りは、その不動産への現金投資によって得られる利益の割合を正確に表しています。つまり、不動産投資家の実際に手元に残る利益を示している重要な指標です。
とはいえ、残念なことですが、実質利回りは万能ではありません。
マンション経営に必ずといって発生する広告料(AD)や原状回復費などが考慮されていないからです。
ただ、「いくら広告料を使って、原状回復をどこまでするか?」
これは、マンション経営の醍醐味であり、考え方はその不動産投資家に委ねられています。だから、実質利回りの計算ではあえて含めないのです。
中古ワンルームマンションのボリュームラインは500万円~2000万円です。
だから、サラリーマン投資家であるボクたちはローンを使う場合がほとんどですので、自己資金がどれだけ効率的に使えているか?それが大切になってきます。
『自己資金利回り(CCR)で儲ける!成功する不動産投資の秘訣とは?』
融資はうまく使えばレバレッジが効くのでぜひ活用していきたいですね。
『不動産投資のレバレッジ効果がもたらす、驚異的な利回りアップ方法とリスク』
不動産投資の利回りの落とし穴
最後に、不動産投資の初心者が陥りやすい、不動産投資の利回りの落とし穴を解説していきます。
高利回り物件は勝ち物件とは限らない
実質利回りが高いことは、投資効率がよく、多くのキャッシュフローを得られることがわかったと思います。
しかしながら、実質利回りの高さばかりに注目しすぎると、足をすくわれる可能性がたかいです。
利回りが高いということは、それだけリスクも高いからです。
高利回り物件を購入する際は、目に見えない何らかのリスクが潜んでいる可能性があることを念頭において購入してください。
高利回り物件に踊らされないために、ワンルーム投資のリスクを知って、失敗しない投資家を目指ししてください。
『ワンルーム投資の高利回りに騙されるな!リスクを知って失敗しない投資をしよう』
低利回り物件は負け物件か?
下記のような物件は、利回りが低い傾向にありますが、リスクが低く堅実な投資をできる可能性が高いです。
- 資産性が高く、物件の価値や家賃が下がりづらい物件
- 低金利・長期間でローンが組める物件
- 物件のメンテナンスが行き届いている物件
このような物件は、主に東京の売主業者が直接販売している物件です。
『サラリーマン投資家のワンルーム投資 売主物件のメリット・デメリット』
業者が仕入れ値に利益をのせてサラリーマン投資家へ販売するため、相場より値段が高くなるため、利回りが低くなる傾向にあります。
不動産投資の実質利回り(FCR)のまとめ
「利回りは使い方次第」というタイトルの意味が分かったかい?
実質利回り(FCR)とは、不動産投資における購入諸費用、空室率、運営費など、すべてを考慮して算出される利回りのことだよ。
つまり、「実質利回り=実際の利回り」と言えるのさ。
不動産業者は表面的な利回り(表面利回り)を強調することがあるけど、この記事を読んだあなたは、もう煩わされることはないよね。絶対。
とはいえ、
利回りとは、単に現状を示す数字に過ぎない。
不動産投資で大切なのは、リスクに見合った利回りを得ることなんだ。
つまり、適切なリスクを取り、収益を得ることが重要なんだよ。
不動産投資をレベルアップしたいなら、不動産投資シミューレーション「VIP」がおすすめ!
購入して売却するまで、最長35年間のシミュレーションが自動計算できるよ。