賃貸物件の広告料(AD)に地域差があることは、不動産投資をしている方なら常識かもしれません。
実際、同じ広告内容であっても、都市部と地方の賃貸物件の広告料には大きな違いがあります。
しかしながら、同じ広告内容にもかかわらず、どうして地域差が発生するのでしょうか?
そこで今回の記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、不動産投資の初心者向けに、そうした要因について詳しく掘り下げ、賃貸物件の広告料に地域差が生じる理由を明らかにしていきます。
具体的には、東京と大阪の需要と供給のバランスなどについて検討し、広告料が異なる背景を解説します。
また、広告料の相場や有効な広告料の使い方についても触れます。
では、始めましょう。
不動産投資の広告料(AD)とは、業者向け特別報酬のこと
賃貸マンションを契約する際、借主が仲介業者に1カ月分の家賃相当額の仲介手数料を支払うことが多いですが、法律上は借主と大家の合計で1カ月分が上限となります。
借主の仲介手数料 | 大家の仲介手数料 |
---|---|
1カ月分 | 負担なし |
0.5カ月分 | 0.5カ月分 |
負担なし | 1カ月分 |
そのため、家賃が高額になる都心のファミリーマンションの契約をまとめると、仲介業者は1件の仲介で何十万円もの仲介手数料を得ることができます。
しかし、ワンルームマンションの家賃は数万円であるため、1回の取引で得られる仲介手数料は数万円にすぎません。
マンション種類 | 家賃 | 仲介手数料 |
---|---|---|
ファミリーマンション | 高額 | 何十万円 |
ワンルームマンション | 数万円 | 数万円 |
ファミリーマンションとワンルームマンションの取引の手間は同じです。
そうであるなら、家賃の低いワンルームマンションの入居者探しは後回しにして、家賃の高いファミリーマンションの入居者探しを優先するのが自然な考え方です。
しかし、このような事態を避けるために、投資家は広告料(AD)を支払い、仲介業者に優先的に入居者を紹介してもらうように依頼します。
不動産業界では、この広告料を「AD」「B」「バック」と呼んでいます。
つまり、広告料とは「投資家から不動産仲介業者に支払われる特別報酬」のことです。
広告料は「AD50(AD0.5)」、「AD100(AD1)」のように表記されます。
これらの数字は、それぞれ家賃の0.5ヶ月分、1ヶ月分に相当する広告費が支払われることを示しています。
広告料は仲介手数料とは別の費用として支払われるため、賃貸物件オーナーにとっては、仲介業者に優先的に入居者を紹介してもらうための重要な費用となります。
賃貸物件の広告料の相場
広告料の相場は1カ月分~2カ月分ですが、賃貸激戦地区や家賃の安いエリアでは3カ月以上というのもザラにあります。
広告料 | メリット | デメリット |
---|---|---|
賃料0.5ヶ月分 | コストが安い | 仲介業者の紹介頻度が低くなる |
賃料1ヶ月分 | バランスが良い | 特別な広告を出せない |
賃料1.5~3ヶ月分 | 仲介業者の紹介頻度や成約率が高くなる | コストが高い |
『大阪マンション投資の失敗を回避せよ!買ってはいけないエリアはココだ』
投資家はテリトリーの広告料の相場を熟知しているはずです。
では、エリア外に投資したいと思ったときは、広告料をどう予想すればよいのでしょうか?
「仲介業者数社に電話して統計をとる」
これが一番確実な方法です。
ただ、これではここで記事が終わってしまいます。広告料の相場感をつかむ、別の方法を考えてみましょう。
賃貸広告料の相場の考え方
広告料を支払ってきた経験から、仲介業者は契約1件に付きこれくらいの利益(仲介手数料+広告料)を期待しているようです。
- 東京:12万円~14万円
- 大阪:13万円~15万円
東京の賃貸物件の広告料相場
東京の賃貸広告料の相場は1カ月分ですが、閑散期では1.5カ月分必要になるケースがあります。
東京の標準的ワンルームマンションを以下のタイプと仮定します。
- 1Rタイプ
- 専有面積16㎡
- ユニットバス
- 家賃6万円~7万円
東京の賃貸仲介手数料の相場は1カ月分ですが、不動産会社によっては0.5カ月分に設定しているケースもあります。
仲介業者の利益(12万円~14万円)を換算すると、このようにまとまります。
借主の仲介手数料 | 大家の広告料 | 業者の利益 |
---|---|---|
1カ月 | 1カ月分 | 12万円~14万円 |
0.5カ月 | 1.5カ月分 |
大阪の賃貸物件の広告料相場
大阪の賃貸広告料の相場は1.5カ月分ですが、閑散期では2カ月分必要になるケースがあります。
大阪の標準的ワンルームマンションを以下のタイプと仮定します。
- 1Kタイプ
- 専有面積20㎡
- バス・トイレ別
- 家賃5.5万円~6.5万円
大阪の賃貸仲介手数料の相場は1カ月分ですが、最近では0.5カ月分も増えてきました。
仲介業者の利益(13万円~15万円)を換算すると、このようにまとまります。
借主の仲介手数料 | 大家の広告料 | 業者の利益 |
---|---|---|
1カ月 | 1.5ヶ月分 | 13万円~15万円 |
0.5カ月 | 2カ月分 |
『ブログ歴5年超のサラリーマン大家が暴露!不動産投資家のウラの顔』
賃貸物件の広告料に地域差がある理由
賢明なあなたなら、もうわかったと思います。
東京・大阪の広告料の違いは家賃の差であることを。
『地方都市崩壊!?大阪ワンルームの家賃相場が安すぎる3つの理由』
ただ、これは東京・大阪に限ったことではありません。
家賃が安いエリアは、多くの広告料を要求される可能性が高いです。
さらに、契約件数自体が少ないエリアでは、1件あたりの契約単価を上げないと商売としてなりたたないため、「1件あたり20万円」の利益が必要だったりもします。
仲介業者の求める利益を約20万円とすると、家賃4万円のワンルームマンションの広告料はこうかもしれません。
(1カ月分は仲介手数料)
ボクが都心のワンルームマンション投資をすすめるのは、このようなリスクを避けるためだよ。
広告料は費用対効果を勘案して決定する!
広告料を出すその前に、現在の家賃設定が相場とかけ離れていないかを確認することが大切です。
家賃設定が間違っていると、いくら広告料を増やしても早期成約に至らず、広告料が無駄になる可能性があるからです。
- 「広告料を出さなかった場合の予想空室期間」を基準に決める。
- 家賃の2ヶ月分以内に抑えれば、費用対効果が出る可能性が高くなる。
- 広告料は戦略的に使うことで費用対効果が得られるものであるため、安易に決めるべきではない。
管理会社は早期入居のために広告料を上げる傾向があります。
管理委託手数料分の働きをしてくれないようなら、いっそのこと管理会社の変更を検討すべきです。
マンション貸す.com は、そんな悩みを持った不動産オーナー向けのサイトです。
広告料ゼロで募集すると、業者にそっぽ向かれるかも…
「広告料ゼロで賃貸募集するとどうなるのだろうか」という疑問がわきませんか?
きっと答えはこうです。
なぜなら、賃貸物件は一部のエリアを除いて「需要 < 供給」であり、広告料ゼロ物件を紹介しなくても、紹介できる物件は山ほどあるからです。
でも、「広告料ゼロ」で賃貸募集する投資家をボクは知ってるよ。
東京の超一等地のワンルームマンションに限っては「広告料ゼロ」でも、[需要 > 供給]だから、(仲介業者が借主を物件に)案内すればほぼ決まるらしいよ。
『大阪の不動産投資で失敗する7つの理由!東京人が陥りがちなトラップとは?』
賃貸マンションの広告料相場のまとめ
広告料とは、早期入居を促進するため、大家が仲介業者に支払う特別料金のことだよ。
広告料の相場は1カ月分~2カ月分だけど、賃貸激戦地区や家賃の安いエリアでは3カ月以上というのもザラにあるよ。
広告料に違いが生じる要因は「家賃の差」と「賃貸需要の差」だね。
広告料を多めに出すときは、広告料を無駄にしないために、費用対効果をよく検討知るべきだよ。
今回の記事では、東京と大阪の広告料について比較したけど、東京と大阪の違いは広告料だけじゃないよ。
エリアの特徴は、リノシーの資料に詳しくまとめられているよ。
例えば、原状回復費・広告料無料で対応とかね。
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