賃貸マンションを契約するとき、借主が仲介業者に家賃の1カ月分の仲介手数料を支払うことが多いですが、法令では借主と大家の合計で1カ月分が上限です。
- 借主1カ月分 or 大家負担なし
- 借主0.5カ月分 or 大家0.5カ月分
- 借主負担なし or 大家1カ月分
だから、都心ファミリーマンションの契約をまとめれば、仲介業者は1件の仲介で何十万という仲介手数料を得られます。
しかし、ワンルームマンションの家賃は数万円であるため、1回の取引で得られる仲介手数料は数万円です。
そうであるなら、家賃の低いワンルームマンションの客付けは後回しにして、家賃の高いファミリーを優先しようとするのが自然な考え方です。
そうならないために、ワンルームマンションの投資家は広告料(AD)というニンジンを使って仲介をあっせんするのです。
広告料とは
入居者は賃貸マンションを契約するととき、仲介手数料として家賃の1カ月分を支払います。
先に解説した通り、仲介手数料は入居者と大家の合計で上限が家賃の1カ月と決まっているます。
というのは表向きで、
大家は(仲介手数料とは別に)広告料として家賃の数カ月分を仲介業者に支払っています。
広告料は不動産業界用語で、「AD」「B」「バック」といわれています。
要するに、広告料とは仲介手数料を超えた料金のことです。
広告料の相場
広告料の相場は1カ月分~2カ月分ですが、ワンルーム激戦地区や家賃の安いエリアでは3カ月以上というのもザラにあります。
『買ってはいけない大阪エリア!マンション投資歴10年が語りつくす』
投資家はテリトリーの広告料の相場を熟知しているはずです。
では、エリア外に投資したいと思ったときは、広告料をどう予想すればよいのでしょうか?
「仲介会社数社に電話して統計をとる」
これが一番確実な方法でしょう。
ただ、これではここで記事が終わってしまいます。
広告料の相場をつかむ、別の方法を考えてみましょう。
広告料の相場の考え方
広告料を支払ってきた経験から、仲介会社は契約1件に付き、これくらいの利益(仲介手数料+広告料)を期待しているようです。
- 東京圏:12万円~14万円
- 大阪圏:13万円~15万円
東京圏の広告料相場
つまり、東京圏の標準的ワンルームマンション(1Rタイプ、専有面積16㎡、ユニットバス)家賃5.5万円~6.5万円・管理費0.5万円の広告料はこうなります。
広告料 = 約1カ月分
ただし、借主が負担する仲介手数料によって、大家が支払う総負担金(広告料と仲介手数料の合計)は違います。ここがポイントです。
<仲介手数料1カ月物件>
仲介手数料0 + 広告料1 = 1カ月分
<仲介手数料0.5カ月物件>
仲介手数料0.5 + 広告料1 = 1.5カ月分
<仲介手数料ゼロ円物件>
仲介手数料1 + 広告料1 = 2カ月分
大阪圏の広告料相場
大阪圏の標準的ワンルームマンション(1Kタイプ、専有面積20㎡、バス・トイレ別)家賃5万円~6万円、管理費0.5万円のワンルームマンションの広告料はこう推測できます。
広告料=約1.5~2カ月分
ただし、借主が負担する仲介手数料によって大家が支払う総負担金(広告料と仲介手数料の合計)は違います。
<仲介手数料1カ月物件>
仲介手数料0 + 広告料1.5~2 = 1.5~2カ月分
<仲介手数料0.5カ月物件>
仲介手数料0.5 + 広告料1.5~2 = 2~2.5カ月分
<仲介手数料ゼロ円物件>
仲介手数料1 + 広告料1.5~2 = 2.5~3カ月分
東京・大阪の広告料はなぜ違う?
賢明なあなたなら、もうわかったでしょう?
東京・大阪の広告料の違いは家賃の差であることを。
『地方都市崩壊!?大阪ワンルームの家賃相場が安すぎる3つの理由』
ただ、これは東京・大阪に限ったことではありません。
(家賃が)格安エリアのワンルーム投資をすると、たくさんの広告料を要求される可能性が高いです。
さらに、契約件数自体が少ないエリアでは、1件あたりの契約単価を上げないと商売としてなりたたないため、「1件あたり20万円」の利益が必要だったりもします。
仲介業者の求める利益を約20万円とすると、家賃3万円・管理費0.5万円のワンルームマンションの広告料はこうかもしれませんね。
(ボクが)都心(特に東京)のワンルームマンション投資をすすめるのは、このようなリスクを避けるためです。
『利回り爆下げ!それでも東京都心マンションに投資すべき3つの理由』
広告料ゼロで募集するとどうなる?
広告料ゼロで賃貸募集するとどうなるのだろうか。という疑問がわきませんか?
きっと答えはこうです。
なぜなら、ワンルームマンションは一部のエリアを除いて「需要 < 供給」であり、広告料ゼロ物件を紹介しなくても、紹介できる物件は山ほどあるからです。
でも、「広告料ゼロ」で賃貸募集する投資家をボクは知っています。
東京の超一等地のワンルームマンションに限って「広告料ゼロ」でも、[需要 > 供給]であるため、(仲介業者が借主を物件に)案内すればほぼ決まるらしいです。
『大阪ワンルーム投資は失敗する!東京の感覚でやったらハイリスクやで』
まとめ
広告料とは仲介手数料を超えた料金のことだよ。
広告料はエリアによって違うんだ。こんなふうに。
都心(東京) > 地方(大阪)
東京・大阪の広告料の違いは「家賃の差」と「賃貸需要の差」だね。
東京(首都圏)と大阪(関西圏)の広告料にスポットを当てたけど、違いは広告料だけじゃないよ。エリアの特徴は、リノシーの資料に詳しくまとめられています。
例えば、原状回復費・広告料無料で対応とかね。