繰り上げ返済はローン返済額を変えずに融資期間を短くする「期間短縮型」と、ローンの融資期間を変えずに返済額を軽くする「返済額軽減型」の2種類があります。
「期間短縮型」と「返済額軽減型」を比較すると、支払利息の軽減効果が高いため、期間短縮型繰り上げ返済に注目が集まりますね。
しかし、不動産投資のリスクを下げるためには、返済額軽減型繰り上げ返済を選びたいです。
「期間短縮型」のメリット・デメリット
「期間短縮型繰り上げ返済」のメリット・デメリットはこのとおりです。
<メリット>
- ローン返済のスピードが加速する
- (期間短縮型より)繰り上げ返済の効果が高い
<デメリット>
- 一定期間の返済期限の利益(ローンを分割で払う権利)を失う
- 資金を失う(リスクが上がる)
これを数字で解説しましょう!
あなたは次の条件のローンを1年後に100万円繰り上げ返済しようとしています。
- ローン金額:800万円
- 返済方式:元利均等返済
- 金利:3%
- 残期間:20年
- 元金返済:24,367円/月
- 利息返済:20,000円/月
繰り上げ返済後のローンの返済条件と減額された利息の総額は、「返済額軽減型」と「期間短縮型」ではこのように変わります。
– | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
---|---|---|
ローン金額 | 670万円 | |
金利 | 3% | |
残期間 | 15年8カ月 | 19年 |
元金返済 | 27,609円/月 | 21850円/月 |
利息返済 | 16,758円/月 | |
減額された利息の総額 | 686,577円 | 313,177円 |
期間短縮型繰り上げ返済のメリット
期間短縮型繰り上げ返済では、ローンの残期間が3年4カ月短縮され、元金返済が3242円増えるため、ローン返済が加速するのがメリットです。
また、減額された利息の総額が(返済額軽減型より)多いため、繰り上げ返済の効果が高いのが第二のメリットです。
『マンション投資の繰り上げ返済「期間短縮型」を選ぶ2つのメリット』
期間短縮型繰り上げ返済のデメリット
ただし、自ら勝ち取った返済期限の利益を放棄するというデメリットもあります。
「返済額軽減型」のメリットデメリット
もう一度、「返済額軽減型」と「期間短縮型」繰り上げ返済後のローンの返済条件と減額された利息の総額を確認してみましょう!
期間短縮型繰り上げ返済のメリット
– | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
---|---|---|
ローン金額 | 670万円 | |
金利 | 3% | |
残期間 | 15年8カ月 | 19年 |
元金返済 | 27,609円/月 | 21850円/月 |
利息返済 | 16,758円/月 | |
減額された利息の総額 | 686,577円 | 313,177円 |
返済額軽減型繰り上げ返済では、元金と利息返済の合計額が5759円(44367円-28608円)減額されます。
つまり、毎月5758円のキャッシュフロー(儲け)が発生するのです。
言い換えれば、100万円投資して年間69096円のキャッシュフローが得られるわけだから、自己資金利回り(不動産投資に突っ込んだ現金の利回り)約7%のワンルームマンション投資をしたのと同じです。
『自己資金利回りこそ不動産投資の要!儲かるワンルームはどっち?』
期間短縮型繰り上げ返済のデメリット
期間短縮型繰り上げ返済のデメリットは、繰り上げ返済することで減額される利息の総額が、期間短縮型と比較すると目劣りすることです。
『不動産投資の長期ローンは万能ではない!30年に隠された2大リスク』
リスクを減らす繰り上げ返済は「返済額軽減型」
先に解説したとおり、「返済額軽減型」と「期間短縮型」の繰り上げ返済にはメリットデメリットがあります。
しかし、リスクを減らす繰り上げ返済は「返済額軽減型」を選ぶのがコツです。
「返済額軽減型」は期限の利益を放棄することなくローン返済額を減らし、リスクも減らせるというメリットがあります。
一方、「期間短縮型」の効果(総支払利息の軽減)が表れるのはローンの返済後で、ローン返済中は目に見える効果がないからです。
『マンション投資の繰り上げ返済「期間短縮型」を選ぶ3つのデメリット』
さらに、「返済額軽減型」はローン返済が減った分は直接キャッシュフローになり、投資効果も得られるというおまけつきです。