中古ワンルームマンション投資には2つの派閥があります。
築10年までワンルームマンションに投資する築浅派(ちくあさは)と、築30年程度のワンルームマンションに投資する築古派(ちくふるは)です。
ボクがどちら派かよりも、あなたが気になるのがズバリこれですよね?
どっちが儲かるの?
これは非常に難しい問いです。
が、ある条件下では「どちらがガチで儲かるのか」購入から売却までシミュレーションして白黒つけました。
果たして、勝つのはどちらでしょうか?
築浅と築古ワンルームのイメージ
本記事は(山手線主要駅まで電車で5分圏の)山手線外側の区分マンションをイメージしています。(間取りは「楽待」から拝借しました)
築浅ワンルーム
あこがれのモダンアーバンスタイル。それが築浅ワンルームマンションです。
- 築年数:5年
- 価格:2000万円
- 年間家賃:120万円
- 専有面積:25㎡
- バストイレ別
ボクもあなたも、住むならこっちですよね?
築古ワンルーム
築古ワンルームマンションはSimple is best! バブル期のワンルームスタイルです。
- 築年数:30年
- 価格:900万円
- 年間家賃:70万円
- 専有面積:16㎡
- 3点ユニット
東京圏では3点ユニット物件が多くを占めますが、関西圏では不人気の間取りです。
築浅 vs 築古 ワンルーム購入偏
アイスコーヒーを片手に、あなたは不動産投資サイトのネットサーフィンの真っ只中です。
すると、こんな築浅ワンルームと築古ワンルームの情報が目に入ってきました。
築浅 | 築古 | |
---|---|---|
築年数 | 5年 | 30年 |
価格 | 2000万円 | 900万円 |
年間家賃 | 120万円 | 70万円 |
表面利回り | 6.0% | 7.8% |
ローン金額 | 1800万円 | 810万円 |
金利 | 2.3% | 2.6% |
融資期間 | 30年 | 22年 |
※ローン金額は価格の90%で計算
各ワンルームマンションの詳細を見てみましょう。
築浅ワンルームの購入条件
- 築5年
- 物件価格:2000万円
- 年間家賃:120万円
表面利回りは6%(120 ÷ 2000 ×100)です。
購入諸費用はおよそ130万円ですので、330万円の自己資金が必要です。(90%融資)
『不動産投資初心者必見!失敗しない利回り最低ラインの見極め方』
ここで、あなたは築浅ワンルーム購入後のバランスシートをイメージします。
詳細『不動産投資のバランスシート | サラリーマン大家はこう使おう!』
築浅ワンルーム投資のメリットのひとつは「融資条件の良さ」です。
- ローン金額:1800万円
- 金利:2.3%
- 融資期間:30年
※今回は厳しめに金利2.3%にしていますが、GA technologies など大手不動産会社なら金利1%台・フルローンも夢ではありません。
『リノシー資料請求した?失敗しない不動産投資の理由がココにあった!』
築古ワンルームの購入条件
- 築30年
- 価格:900万円
- 年間家賃:70万円
表面利回りは7.8%(70 ÷ 900 ×100)です。
購入諸費用はおよそ70万円ですので、160万円の自己資金が必要です。(90%融資)
銀行は築古ワンルームに厳しいです。
- ローン金額:810万円
- 金利:2.6%
- 融資期間:22年
築古ワンルームの融資条件は良いとは言えません。
『築古ワンルームマンション投資最大の弱点 融資を使うなら急げ!』
築浅 vs 築古 ワンルーム運営偏
あなたは頭脳明晰な投資家です。
ワンルームマンションをそれぞれ10年間運営すると、どれくらいのキャッシュフロー(CF)が発生するかを瞬時に計算しました。
築浅 | 築古 | |
---|---|---|
家賃下落率 | 1.5~1% | 0.2% |
運営費率 | 23% | 30% |
年間ローン返済金 | 83万円 | 48万円 |
初年度CF | 約9万円 | 約0.6万円 |
10年後CF | 約-0.1万円 | 約-0.2万円 |
10年間の合計キャッシュフローは、築浅ワンルームの勝利です。
築浅ワンルームのキャッシュフロー
築浅ワンルームのキャッシュフローシミュレーションの詳細はこうです。
- 家賃下落率:1.5%(新築から10年)
- 家賃下落率:1%(築11年から20年)
- 運営費率:家賃の23%
- 年間ローン返済金:831,163円
1年目のキャッシュフローはこう計算しました。
=年間家賃-運営費-年間ローン返済金
=1,200,000-276,000-831,163
=92,837円
そしてキャッシュフローの合計はこう推移します。
縦軸:キャッシュフローの合計(円)
横軸:運営期間(年)
運営9年目以降はマイナスキャッシュフローに転落しました。
築古ワンルームのキャッシュフロー
築20年を超えてくると家賃は安定しますが、修繕費がかさんでくる時期でもあります。
築古ワンルームのキャッシュフローシミュレーションの詳細はこうです。
- 家賃下落率:0.2%
- 運営費率:家賃の30%
- 年間ローン返済金:483,852円
1年目のキャッシュフローはこう計算しました。
=年間家賃-運営費-年間ローン返済金
=700,000-210,000-483,852
=6148円
キャッシュフローの合計はこう推移します。
築古ワンルーム投資では、運営初年度からキャッシュフローが少なく、8年目にはマイナスキャッシュフローに転落します。
築浅 vs 築古 ワンルーム売却偏
あなたはワンルームマンション購入10年後を想像し、売却することに決めました。
築浅 | 築古 | |
---|---|---|
売却価格 | 1652万円 | 810万円 |
売却費用 | 65万円 | 32万円 |
ローン残債 | 1333万円 | 498万円 |
売却益 | 254万円 | 280万円 |
売却益では築古ワンルームの勝利です。
築浅ワンルームの売却益
築浅ワンルームの売却条件はこうです。
- 譲渡価格:1652万円
(表面利回り:6.5%) - 譲渡費用:65万円
10年後のローン残債は1333万円です。
=(譲渡価格 - ローン残債) - 譲渡費用
=(1652 - 1333)-65
=254万円
築古ワンルームの売却益
築古ワンルームの売却条件はこうです。
- 譲渡価格:810万円
(表面利回り:8.5%) - 譲渡費用:32万円
10年後のローン残債は498万円です。
=(譲渡価格 - ローン残債) - 譲渡費用
=(810- 498)-32
=280万円
『ワンルーム投資の出口戦略!だから、ボクは売らないと決めたんだ』
築浅1勝、築古1勝。本当に儲かったのは?
築浅 vs 築古 どっちのワンルームが儲かった?
ワンルーム投資の儲けは「キャッシュフローの合計 + 売却益 - 自己資金」で計算します。
この計算式の根拠はコチラの記事で解説しています。
詳細『成功か、それとも失敗か?ワンルーム投資はとにかく出口に強くなれ!』
=39.2 + 254 -330
=-36.8万円
=1.7 + 280 - 160
=121.7万円
築古ワンルームの圧勝です。
※本記事は、築浅・築古が持つ個別のリスクは無視し、「単純にどちらが儲かるのか」のみを検討しています。
『ワンルームマンション投資は儲からない?バカ扱いする前に知るべき4つの事実』
【補足】全期間利回り(IRR)という考え方
不動産投資を始める初心者にとって、重要な指標のひとつが利回りです。
- 表面利回り(役に立たない利回り)
- ネット利回り(不動産の個別性を考慮した利回り)
- 実質利回り(現実的な利回り)
- 自己資金利回り(不動産投資に突っ込んだ現金の利回り)
- 全期間利回り(投資期間全体の総利回り)
この利回りの中で最も重要視したいのが、全期間利回りです。
全期間利回りとは、不動産投資の購入から売却までにかかった期間を考慮して、投資全体の総合的な利回りのことです。
不動産投資においては、物件を長期的に所有することが一般的です。
そのため、物件の購入費用、期間中に得たキャッシュフロー、売却益を反映し、より正確な利回りを算出することが大切です。
また、全期間利回りは、物件の売却時期によっても大きく変わってきます。
たとえば、物件を購入してからすぐに売却した場合と、数年後に売却した場合では、全期間利回りが大きく異なってくる可能性があります。
そのため、不動産投資においては、物件の売却時期も考慮した全期間利回りの計算が大切です。
『エクセルで不動産投資を勝ち抜く!全期間利回り(IRR)の正しい算出方法』
築古ワンルーム投資VS築浅ワンルーム投資のまとめ
築浅 vs 築古は、築古ワンルームマンションの圧勝だったね。
ただ、築浅ワンルームがダメかといえば、そうでもないよ。
それぞれ特徴があって、勝ち方のルールが違うだけだから。
築浅ワンルームのメリット・デメリット
- 長期の融資期間が取れるため、キャッシュフローを確保しやすい。
- 家賃下落が大きいので、購入時と売却時の価格差が大きい
『ワンルーム投資で破産回避!初心者が知るべきマイナスキャッシュフローの恐怖と回避策』
築古ワンルームのメリット・デメリット
- 融資期間が短いため、キャッシュフローが出づらい。
- 家賃の下落が小さいで、購入時と売却時の価格差が小さい