あなたがこの記事にたどり着いたの理由は何でしょうか?
- 減価償却が終わりそうだから?
- 減価償却が終わったら、大変なことになりそうだと気づいたから?
いずれにせよ、この記事にたどり着いて正解です。
不動産投資の魅力のひとつは、減価償却費を通じて税金上のメリット(節税)が受けられることです。
しかし、減価償却費による節税効果を享受していた不動産投資家にとって、減価償却の終了は深刻な問題をもたらすかもしれません。
そこで今回の記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、減価償却が終わったときに不動産投資家が直面する新たな課題について、詳しく解説します。
こんなはずでは…。とならないように、事前に知っておいてください。
では、始めましょう。
不動産投資の減価償却費とは?
初心者のサラリーマン投資家のために、減価償却費を簡単に解説しておくね。
土地は永遠に使えるため、価値が減ることはありません。
しかし、建物本体やキッチン、トイレ、ユニットバスなどの付帯設備は、時間とともに価値が減少します。
その資産価値が下がった分を、会計上でも減らす必要があります。
この手続きを減価償却と言います。
『不動産投資の減価償却費の不思議 正しく理解していますか?』
この減価償却によって、資産の価値を減らすための費用「減価償却費」が発生します。
減価償却費は、実際に現金の支出を伴いませんが、費用として計上することで税金を軽減する効果があります。
では、減価償却費はどれくらいの節税効果があるのでしょうか?
不動産投資の減価償却費を使った節税スキーム
不動産投資の減価償却費を使った節税スキームを、つまびらかに解説します。
これが分からないと、不動産投資の減価償却が終わったときに起こる新しい課題が理解できません。
キャッシュフロー・減価償却費・不動産所得の関連性に着目して読み進みてください。
あなたはこの条件のワンルームマンション投資を行っています。
- 取得価格:1040万円
(建物取得価格は416万円) - 築年数:30年
- 融資金額:700万円
- 金利:2.5%
- 融資期間:30年
- 年間家賃:72万円
- 年間運営費:20万円
キャッシュフローの計算をしてみよう
不動産投資1年目のローンの元金返済と利息返済はこの通りです。
- 元金返済:158,711円
- 利息返済:173,185円
この不動産投資の年間キャッシュフロー(儲け)を計算してみます。
=[家賃]-[運営費+ローン返済額]
=72万円-(20万円+331,896円)
=188,104円
キャッシュフロー計算方法の詳細はコチラ!
『不動産投資の大損を回避!ワンルームマンションのキャッシュフロー計算方法』
減価償却費を計算してみよう
この物件の減価償却費を計算すると、183,040円になります。
耐用年数は23年なので、183,040円を23年間にわたって減価償却することになります。
『5分で達人級!中古マンションの減価償却費の計算方法を不動産投資家が解説』
不動産所得を計算してみよう
この不動産投資の不動産所得を計算すると、163,775円になります。
=[家賃]-[運営費+ローン利息+減価償却費]
=72万円-(20万円+173,185円+183,040円)
=163,775円
キャッシュフローと不動産所得が、一緒にならないことをよく理解してください。
『キャッシュフローと不動産所得の違いを知って、成功の秘訣を手に入れよう!』
キャッシュフローと不動産所得の差が節税の鍵
この不動産投資では、キャッシュフローが不動産所得を超えます。
- キャッシュフロー:188,104円
- 不動産所得:163,775円
実際の儲け(キャッシュフロー)は188,104円ですが、会計上の儲け(不動産所得)は163,775円となり、課税される税金が実際より少なくなります。
つまり、この差が節税に寄与するのです。
しかしながら、融資を受けて不動産を保有し続けると、キャッシュフローが不動産所得を下回る日が訪れます。
これを引き起こすタイミングが、減価償却費が終わった年であることが多いのです。
不動産の減価償却が終わったら起こること
不動産の減価償却が終わると、減価償却費が終了し、費用計上ができなくなります。
これにより、帳簿上の利益が増え、利益に重い税金がかかることになります。
耐用年数を過ぎた物件を所有するデメリットとして、以下の点が挙げられます。
第一に、経費の減少により不動産所得が増加し、課税される所得税も増え、キャッシュフローが悪化します。
第ニに、築年数が経過すると家賃が減少したり空室率が上昇したりするため、キャッシュフローが悪化し、マンション経営が困難になることがあります。
『ワンルーム投資で年間12万円節税!サラリーマン必見の節税の仕組みとは?』
【実例解説】不動産の減価償却が終わったら起こること
先に解説したとおり、不動産投資の節税は減価償却費に頼っていることが分かります。
しかしながら、この減価償却費は23年後に終了します。
すると、キャッシュフローと不動産所得は逆転し、税金が重くのしかかります。
あなたが税率30%の投資家なら、不動産所得の税金は138,911円(463,036×30%)です。
減価償却が終了直後の税引き後キャッシュフロー(ATCF)は49,193円(188,104ー138,911)まで激減します。
ただ、減価償却の終了は税金地獄の入口にすぎません。
すべての借金を返済し終えるまで税引き後キャッシュフローの悪化は止まらず、ジリジリと追い込まれるからです。
『大阪の不動産投資で失敗する7つの理由!東京人が陥りがちなトラップとは?』
まとめ(不動産投資の減価償却費がおわったときに起こること)
不動産投資の不動産所得・税引き前キャッシュフロー(BTCF)・税引き後キャッシュフロー(ATCF)をグラフにまとめるとこうだよ。
マンション経営を続けると、いつかデッドクロスがおとずれることが分かるよね。
『不動産投資家必見!デッドクロスに隠された税金地獄を解き明かす』
その瞬間から、不動産所得がキャッシュフロー(BTCF)を上回り、その不動産投資での節税スキームが崩れるんだ。
さらに時は流れ、減価償却費が終了して重税地獄。
だから、「デッドクロスと減価償却終了がいつ起こるのか?」を把握して、対策しておかないと、後で痛い目をみるよ。