東京の不動産投資は魅力的です。
しかし、価格が高騰しているため、利回りで劣ると感じる投資家も多いのではないでしょうか?
その代替案として、大阪の不動産投資が挙げられます。
これは、戦略としては正しいです。
しかし、東京の物件を買うのと同じ感覚で大阪の物件を買ってしまうと、たいへんなことになります。
大阪の不動産投資では、東京の不動産投資家が見落としがちなリスクや誤解があるため、失敗する可能性があるからです。
そこで今回の記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、東京人が大阪の不動産投資で失敗する7つの理由をあかし、それぞれの理由について詳しく解説していきます。
本記事を最後まで読めば、東京と大阪の不動産投資の戦略の違いが、霧が晴れるかのように理解できます。
では、始めましょう。
YouTubeの解説版もあります!
大阪の不動産投資で失敗する理由1: 利回りはそこまで高くないから
大阪のワンルームマンションの物件価格は東京よりも手頃で、利回りも高めです。
そのため、単純に良い投資先に映るかもしれません。
しかし、しっかり比較検討しないと、あっさりと失敗します。
※城南:港区、品川区、目黒区、大田区の4区
期待利回りとは、投資金額に対してどのくらいの収益が見込まれるかという期待収益の割合のことです。
今ブログでいうネット利回りに相当します。
『表面利回りは忘れろ!不動産投資家必携のネット利回り(NOI)とは?』
より簡単にするために、次は東京と大阪の不動産投資の表面利回りを比較してみましょう!
東京の不動産投資の表面利回り
渋谷駅周辺は築古のワンルームマンションが多く、利回りは6%台で、価格は1000万円台です。
一方、五反田駅周辺になると、築浅のワンルームマンションが増え、利回りは4%台で、価格は2000万円台です。
楽待より引用
築浅ワンルームで4%台。築古で6%台だと結構厳しいですね。
大阪の不動産投資の利回りはどうなのでしょうか?
大阪の不動産投資の表面利回り
大阪には、東京のような厳しいワンルームマンション規制(後で解説)がないので、中心地に築古物件と築浅物件が混在しています。
築古物件の利回りは8%台で、価格は1000万円弱です。
築浅物件の利回りは5%台で、価格は1000万円台です。
楽待より引用
大阪のワンルームマンションの価格は、東京のワンルームマンションの60%~70%でかなり安いです。
しかし、大阪のワンルームマンションの利回りは、東京のワンルームマンションの利回りに比べて約1%ほど高いくらいです。
では、大阪のワンルームマンションは、価格が安いにも関わらず、利回りが東京とあまりかわらない原因は何なのでしょうか?
大阪の不動産投資で失敗する理由2: 家賃が安すぎるから
大阪のワンルームマンションの家賃は、東京の家賃の60%~70%程度で、スペックの割には安すぎます。
さっそく検証してみましょう!
先程の4つのマンションの家賃・価格・利回り・平米単価(1㎡あたりの家賃)を表にまとめるとこのとおりです。
エリア | 種別 | 価格(万円) | 利回り | 家賃(万円) | 平米単価 |
---|---|---|---|---|---|
東京 | 築古 | ¥1,200 | 6.70% | ¥6.70 | ¥5,857 |
大阪 | ¥920 | 8.86% | ¥6.79 | ¥3,060 | |
東京 | 築浅 | ¥2,680 | 4.47% | ¥9.98 | ¥4,437 |
大阪 | ¥1,460 | 5.26% | ¥6.40 | ¥2,883 |
『地方都市崩壊!?大阪ワンルームの家賃相場が安すぎる3つの理由』
地方都市の不動産投資は価格が安い分、利回りが高く見えるかもしれません。
しかし、不動産投資において取れる家賃が少ないということは、失敗する原因となります。
詳細は、『大阪の不動産投資で失敗する理由4「経費率が高いから」』で解説します。
大阪の不動産投資で失敗する理由3: 賃貸需要が少ないため、空室率が高いから
東京・大阪に限らず、全国的に賃貸需要が2月・3月に集中することは間違いありません。
しかし、東京は4月に入ってからもダラダラ~と需要が続き、9月・10月に再び需要の第二波が訪れる感じです。年間を通して一定の賃貸需要が続きます。
大阪はどうでしょうか?
4月に入った途端、「??」といった具合に急激に賃貸需要がなくなり、ゴールデンウィークを過ぎたあたりから少しずつ持ち直し、9月・10月に再び弱い需要が訪れる感じです。
大阪の賃貸需要は、年間を通して一定の賃貸需要が続く東京とは違うのです。
そして、東京・大阪の賃貸需要の違いが空室率に表れます。
例えば、GA technologies の管理物件では、東京のワンルームマンションの平均空室期間26.21日ですが、大阪のワンルームマンションの平均空室期間は39.85日になっています。
また、東京23区内には「ワンルームマンション規制」という条例があり、バブル期を象徴するような10㎡~16㎡くらいのワンルームマンションは東京都心に建築できなくなりました。
『2024年大阪マンション投資!価格・利回り・家賃を徹底解説(北区特選)』
一方、大阪には東京ほど厳しいワンルームワンション規制はありません。
項目 | 東京 | 大阪 |
---|---|---|
最低専有面積 | 25㎡以上 (区によって違う) |
原則18㎡以上 |
ファミリータイプ住宅の設置義務 | 一定数以上の戸数を持つマンションには、 ファミリータイプ住宅の設置が 義務付けられている場合が多い |
なし |
税金 | 1Rマンションの建築主に対して、 一定の税金を課税している区がある |
なし |
つまり、大阪では今後も多くのワンルーム物件が供給される可能性があり、競合物件が増え、家賃下落と空室率の増加見込まれます。
人気『リノシー資料請求した?失敗しない不動産投資の理由がココにあった!』
大阪の不動産投資で失敗する理由4: 経費率が高いから
不動産投資では、どの物件でも管理費や修繕積立金などの経費が発生します。しかし、大阪の経費率は東京と比べて経費率が高い傾向にあります。
その理由は、東京や大阪などの建物にかかる経費(管理委託手数料、管理費、修繕積立金)に大きな差がない一方で、空室率に違いがあるからです。
例えば、東京の空室率を5%と見積もると、大阪は約8%になります。
固定資産税は東京では土地の価格が高く、それが影響して高めになることがありますが、マンションの分担割合が比較的小さいため、大きな開きは生じません。
これらの要素を考慮して、下記の築浅マンションの経費率を計算すると、以下のような結果になります。
エリア | 家賃 | 空室損 | 管理委託手数料 | 管理費 修繕積立金 |
固定資産税 | 合計 | 経費率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京 | 9.98 | 0.50 | 0.50 | 1.00 | 0.50 | 2.50 | 25% |
大阪 | 6.40 | 0.51 | 0.32 | 1.00 | 0.42 | 2.25 | 35% |
単位:万円
『大阪マンション投資市場予測2024!価格・利回り・家賃を徹底解説(中央区編)』
大阪の不動産投資で失敗する理由5 広告料が高いから
広告料とは、不動産仲介業者に投資家から支払われる特別報酬のことです。
不動産投資をしている方にとっては、賃貸物件の広告料(AD)に地域差があることは一般的な知識かもしれません。
実際に、同じ広告内容であっても、都市と地方の賃貸物件の広告料には大きな違いがあります。
一般的な広告料の相場は1カ月分から2カ月分ですが、賃貸市場が激戦の地域や家賃が安いエリアでは3カ月以上の広告料が必要になる場合もあります。
広告料 | メリット | デメリット |
---|---|---|
家賃0.5ヶ月分 | コストが安い | 仲介業者の紹介頻度が低くなる |
家賃の1ヶ月分 | バランスが良い | 特別な広告を出せない |
家賃の1.5~3ヶ月分 | 仲介業者の紹介頻度や成約率が高くなる | コストが高い |
『地方都市崩壊!?大阪ワンルームの家賃相場が安すぎる3つの理由』
例えば、東京の場合、家賃1カ月分の広告料で問題なく入居者が見つかることが多いです。
一方、大阪では、家賃1カ月分の広告料だけでは賃貸業者が動かないことが一般的で、多くの物件の広告料が1.5カ月以上に設定されています。
東京の超一等地は、広告料ゼロでも入居者が見つかるらしいよ。
『脱・無駄使い宣言!賃貸マンションの広告料相場と最適な投資戦略とは?』
大阪の不動産投資で失敗する理由6 築浅マンション投資一択になるから
次は投資するマンションのタイプを検討してましょう。
あなたは次の間取りのマンションに住みたいですか?
この間取りは狭いけど、渋谷だったら仕方ないよね。
新宿13㎡のワンルームマンションも保有しているけど、普通に需要があるよ。
大阪で3点ユニットはリスク高いわ。
家賃値引きと空室率の上昇を覚悟せなアカンな。
だから、大阪でマンション投資をするなら、このようなトイレ・バス別の1Kマンションに投資するのが無難なのです。
東京の築古マンションは買えても、大阪の築古マンションは恐ろしくて買えません。
『大阪マンション投資の失敗を回避せよ!買ってはいけないエリアはココだ』
大阪の不動産投資で失敗する理由7 投資適格エリアが狭いから
東京の「人の移動の様子」をイメージするとこうです。
- 新宿(1日平均乗降客数:約78万人)
- 池袋(57万人)
- 東京(45万人)
- 品川(38万人)
- 渋谷(37万人)
- (余白)
- 新橋(27万人)
- (余白)
- 秋葉原(25万人)
JR東日本HP「各駅の乗車人員(2017)」より
山手線へ向かって、さらにその内側にも縦横無尽に人が移動しているね。
だから、よっぽどマニアックなエリアに手を出さなければローリスクで、よっほどのことがない限り大失敗はないはずです。
一方、大阪の人の流れはどうでしょうか?
- 大阪駅(1日平均乗降客数 約44万人)
- 天王寺駅(てんのうじ:15万人)
- 京橋駅(きょうばし:13万人)
- 鶴橋駅(つるはし:10万人)
JR西日本HP「なんでもランキング(2017年)」より
大阪環状線の内側まで人は流れてくるけど限定的やわ。
大阪環状線の賃貸需要は西が弱く、東が強いという特徴があるで。
東京が矢印で真っ赤なのに比べて、大阪の地図が鮮明に見えること…。
何か言った?
いえ、何も。
大阪不動産投資は、大阪(梅田)、難波(なんば)、心斎橋、本町にアクセスしやすいエリアのワンルームマンションに投資することが絶対条件となります。
また、不動産投資で成功するためには、価格の下がりづらいエリアに投資することも大切です。
価格が下がりづらいエリアに、東京(首都圏)と大阪(関西圏)がありますが、その違いは、リノシーの資料に詳しくまとめられています。
『大阪のマンション投資おすすめエリアTOP5!失敗知らずの大家が厳選』
東京人が大阪の不動産投資で失敗する理由のまとめ
大阪不動産投資のディスリ記事になってしもたけど、東京不動産投資と比べるとリスクが高いで。
でも、でも。
大阪不動産投資も、ちゃんと取り組んだら勝てるんやで!
いい事言うね!
ボクは首都圏と関西圏のワンルームマンションに投資しているけど、勝ち方が違うだけだと思うよ。
当たり前やん!
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