アタシのアパート。
減価償却費めっちゃ取れるから、毎年の節税額がスゴイねん!
えぇやろ~。
うらやましい!
ボクのワンルームマンションの減価償却費はチビチビなので、あまり節税にならないんだよね。
じゃあ、ワンルーム投資やめて、アパート投資で節税しいやぁ。
そうだね。
不動産投資は減価償却費で節税してナンボだから。
想像を超える節税効果に興奮し、将来を描く二人の投資家。
でも、その節税テクニックは本当に得なのでしょうか?
結論から言うと、その認識は間違っています!
なぜなら、減価償却費で節税した分は不動産売却時にキッチリ回収されてしまうからです。
つまり、減価償却費を使った節税は「納税回避ではなく納税の先送り」というのが正しい解釈です。
税金の仕組みは本当によくできていて、そう簡単に節税を許さないよ。
売却時に待ち受ける税金の現実と、賢い投資家が知るべき「納税の先送り」の秘密を、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家(プロフィール)が、明らかにします。
税金の世界では、簡単に逃れられない仕組みがあるのです。
不動産投資の裏に隠された真実、減価償却費で節税し分の税金の回収システム。
では、始めましょう!
不動産投資の減価償却費を使った節税の仕組み
本題の前に、減価償却費を使った不動産投資の節税スキームを簡単におさらいします。
あなたはこのような不動産投資(ワンルームマンション投資)をしています。
- 購入価格:1000万円
- 売却価格:1000万円
- 土地建物比率:60:40
- 築年数:30年
- 年間家賃:80万円
- ランニングコスト(運営費):20万円
- 10年間保有
この中古ワンルームマンションの減価償却費は約18万円です。
『5分で達人級!中古マンションの減価償却費の計算方法を不動産投資家が解説』
不動産投資の魅力として、家賃収入からランニングコストを差し引いた後の所得に、さらに減価償却費を必要経費として計上することで節税が可能です。
今回の不動産投資では、年間の純利益は家賃からランニングコストを引いた60万円(80万円-20万円)です。
さらに、18万円の減価償却費を経費にすることで課税所得を42万円に減らし、節税効果を享受できます。
この仕組みを利用すると、税率に応じて毎年数万円の節税することができるのです。
悲報!減価償却費は不動産売却後の税金を増やす
減価償却費を計上すると、不動産売却時の税金(譲渡税)が増える原因となります。
しかし、なぜ減価償却費が不動産売却後の税金を増やすのでしょうか?
これは、減価償却費によって不動産の帳簿上の価値を下げることで、売却時の利益(譲渡所得)が増加し、結果として税金も増えるからです。
= 譲渡価額 - (※取得費 + 譲渡費用)
※取得費=購入価格 + 仲介手数料 + 固定資産税等清算金 - 減価償却費の合計
譲渡税が増える仕組みをフローチャート式に考えるとこうです。
- 減価償却費を計上する。
- 取得費が少なくなる。
- 譲渡所得が増える。
- 譲渡税が増える。
まとめると、減価償却費が増えると譲渡所得が増え、譲渡税も増えるのです。
『ワォ!そんなに?ワンルームマンション売却の税金をドーンと計算するよ』
[不動産売却例]減価償却費で節税した税金の行方
いよいよ最終段階です。
実際に不動産を売却する際、減価償却費で節税した分がどの程度回収されるかは、売却価格、減価償却の累計額、そして売却時の税率などによって変わります。
具体的な例を通じて、これらの要素がどのように影響を及ぼし、最終的に減価償却費で節税した税金がどの程度取り戻されるのかを解説します。
売却前の減価償却費を使った節税額を計算しよう
今回の不動産投資の減価償却費は毎年18万円ですので、10年後に売却すれば減価償却費の合計は180万円になります。
仮に、あなたの税率(所得税+住民税)が20%だっとすると、減価償却費を使って36万円節税できたことになります。
[
所得税率表(住民税は一律10%)]
譲渡税を計算しよう
[物件価格 + 仲介手数料 + 固定資産税等清算]は1040万円くらいになりますので、取得費は860万円です。
※取得費=[物件価格 + 仲介手数料 + 固定資産税等清算] - 減価償却費の合計
このワンルームマンションの売却価格は1000万円でしたので、譲渡所得はこのように計算できます。
※「譲渡費用=売却価格の4%」として計算しています。
10年間物件を保有しているので、このワンルームマンションの売却は長期譲渡(税率20%)です。
つまり、譲渡税は20万円(100万円×20%)になります。
※譲渡税=譲渡所得×長期譲渡税率
[結果]不動産売却後の減価償却費を使った節税額は?
- 減価償却費を使った節税額:36万円
- 不動産売却による譲渡税:20万円
減価償却費を利用して36万円の節税を達成していましたが、不動産を売却した結果、そのうち20万円が税金として納められたということです。
結果減価償却費を使った節税額は16万円に減少しました。
減価償却費による節税が実際には納税の先送りであるという点を示しています。
売却時には、節税分の一部が税金として回収されるため、長期的な税務計画を立てる際にはこの点を考慮する必要があります。
『成功か、それとも失敗か?ワンルーム投資はとにかく出口に強くなれ!』
不動産売却と減価償却の落とし穴のまとめ
減価償却を使って節税するものの、売却時にはその一部が税金として回収される。
減価償却費を使った節税は「税金を売却時へ一部繰り延べているだけ」ということが分かったかな。
×減価償却費で節税 = 納税回避
〇減価償却費で節税 = 納税の先送り
例として、36万円の節税から売却で、20万円が税金として納められるケースしたね。
とはいえ、あなたの税率が高ければ、減価償却費で節税!はそれなりに効果があるよ。
例えば、あなたの税率43%だった場合はこうだからね。
- 減価償却費を使った節税額:77.4万円(売却前)
- 不動産売却による譲渡税:20万円
- 減価償却費を使った節税額:57.4万円(売却後)
つまり、所得が高いサラリーマンは、減価償却費を使って所得税を圧縮した方が有利ということだね。
コメント