職場にこんな感じの勧誘電話がかかってきたことがありませんか?

不動産投資をすれば節税できますよ!
手ごろな価格のワンルームマンションを買いませんか?
不動産を購入して上手に扱えば節税ができます。これは事実です。
しかし、不動産投資が節税になるのはなぜ?
この理由が分からなければ、不動産投資をしても大して節税にならないでしょう。それどころか、反対に納税する羽目になるかもしれません。
そうならないためには、税制を理解する必要があります。
今回は、サラリーマンのあなたが不動産投資で節税する以前の話「あなたの税金が決まるまで」を順を追って解説します。
年収(給与収入)とは?
説明不要かもしれませんが、あえて解説します。
年収とは、1年間の総支給額(額面総額)のことです。
総支給額は毎月の給与、年に2回程度の賞与(ボーナス)を含みます。
源泉徴収票でいうと、この欄ですね。
サラリーマンの節税1:給与所得控除

個人事業主は必要経費を使って節税できるからいいな。
と思うサラリーマンは多いと思います。
(収入を得るのに必要な)食事代や交通費などが、必要経費として年収から差し引けるからです。

領収書ちょうだい!

ボクも経費が使えたら…
しかし、サラリーマンにも合法的に認められた必要経費があります。
それが給与所得控除です。
給与所得控除は「年収」を基準にして以下の計算式で決まっています。
<給与所得控除表>
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
---|---|
180万円以下 | 収入金額×40%-10万円 55万円に満たない場合は55万円 |
180万円超 360万円以下 | 収入金額×30%+8万円 |
360万円超 660万円以下 | 収入金額×20%+44万円 |
660万円超 850万円以下 | 収入金額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円(上限) |
参考:国税庁「給与所得控除」
例えば、年収700万円のサラリーマンは、給与所得控除表の上から4行目を見ます。
=700万円×10%+110万円
=180万円
サラリーマンは年収から給与所得控除180万円が差し引かれ、自動的に節税できていたのです。
年収から給与所得控除を差し引いた後の金額を給与所得といいます。
源泉徴収票でいうと、この欄ですね。
ただし、給与所得控除は年収が上がるほど給与所得控除率(必要経費にできる割合)は下がっていきます。
縦軸:給与所得控除率
横軸:年収
だから、サラリーマンは個人事業主のようにガツンと節税できないのがネックです。

やっぱサラリーマンは損やん!

不動産投資をすれば、こんなに必要経費は広がるよ。
関連『ワンルーム投資の15の経費 | サラリーマン大家はこれだけでOK!』
サラリーマンの節税2:所得控除
サラリーマンでも節税に使える必要経費(控除)はまだまだあります。
所得控除です。
所得控除の種類 | 控除額 | 各所得控除の概要 |
---|---|---|
基礎控除 | 最高 48万円 | 全ての納税者が受けられる |
配偶者控除 | 基本 38万円 | 控除対象配偶者がいるときに受けられる |
配偶者特別控除 | 基本 38万円 | 配偶者の所得金額に応じて受けられる |
扶養控除 | 基本 38万円 | 控除対象扶養親族がいるときに受けられる |
社会保険料控除 | 全額 | 社会保険料(厚生年金・健康保険料など)を支払ったときに受けられる |
医療費控除 | 最高 200万円 | 1年間で原則10万円以上の医療費を支払ったときに受けられる |
生命保険料控除 | 最高 12万円 | 生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払ったときに受けられる |
地震保険料控除 | 最高 5万円 | 地震保険料又を支払ったときに受けられる |
雑損控除 | – | 災害・盗難・横領等を受けたときに受けられる |
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo) | – | 小規模企業共済法に規定された掛金などを支払ったときに受けられる |
障害者控除 | 基本 27万円 | 本人や配偶者などが障害者に当てはまるときに受けられる |
寡婦控除 | 基本 27万円 | 本人が寡婦であるときに受けられる |
寡夫控除 | 基本 27万円 | 本人が寡夫であるときに受けられる |
勤労学生控除 | 基本 27万円 | 本人が勤労学生であるときに受けられる |
※リンク先は国税庁の解説ページです(iDeCoを除く)
例えば、年収700万円のサラリーマンであれば所得控除は155万円程度ですが、所得控除を増やせば増やすほど、税金の計算に使う「課税所得金額(←後で解説)」を減らして節税ができます。
- 基礎控除:48万円
- 社会保険料控除:100万円
- 生命保険料控除:5万円
- 地震保険料控除:2万円
源泉徴収票に所得控除の金額と、その根拠が記載されています。
不動産投資をすると、青色申告特別控除(10万円・55万円・65万円のどれか)も使えるので、さらなる節税が期待できます。
ただし、青色申告特別控除を使うためには、事前準備(開業届と青色申告承認申請書の提出)が必要なのでお忘れなく。
人気『不動産所得の開業届は不要?未提出だとこんなにソンをするよ』
課税所得金額とは?
課税所得金額こそが、税金を計算する基礎となる金額です。
課税所得金額とは、給与所得から全ての所得控除を差し引いた金額のことを言います。
そして、課税所得金額を元にして税金(所得税と住民税)を算出します。
『東京中古ワンルームで節税失敗!嘘だろ?いきなりデッドクロスかい!』
所得税は累進課税方式で決まる!
所得税は稼げば稼ぐほど税率が上がる累進課税方式が採用されています。
所得税は、課税所得金額を元にして以下の計算式と所得税の速算表を使って算出します。
[計算式]
課税所得金額× 税率 − 課税控除額
[所得税の速算表]
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超 330万円以下 | 10% | 9.75万円 |
330万円を超 695万円以下 | 20% | 42.75万円 |
695万円を超 900万円以下 | 23% | 63.6万円 |
900万円を超 1800万円以下 | 33% | 153.6万円 |
1800万円を超 4000万円以下 | 40% | 279.6万円 |
4000万円超 | 45% | 479.6万円 |
参考:国税庁「所得税の税率」
例えば、年収700万円(課税所得金額365万円)のサラリーマンの所得税はこう計算します。
=365万円×20%-42.75万円
=30.25万円
住民税は所得割+均等割で決まる!
住民税は所得割(10%)+均等割(約5000円)がかかる定率課税方式が採用されています。
住民税は課税所得金額を元にして以下の計算式を使って算出します。
[計算式]
課税所得金額 × 所得割税率10% + 均等割税率5,000円
=365万円×10% + 0.5万円
=37万円
サラリーマンの節税3:税額控除
節税を意識するなら、税額控除を積極的に利用したいです。
というのも、税額控除は給与所得控除や所得控除とは違い、税額から直接差し引くことができるからです。
主な税額控除はこの通りです。
参考:国税庁「税額控除」
例えば、税金67.25万円のサラリーマンが住宅ローン控除20万円を受けた場合、税金は47.25万円まで下げられるのです。
『節税の仕組みを実例解説!ワンルーム投資はサラリーマンの税金をこう減らす』
まとめ
税金が決まる仕組みをフローチャートにするとこうだよ。
結局は、サラリーマンが節税するためにはこういうことが必要なんだね。
- 税金が決まる仕組みを理解する(理解しようとする)
- 所得控除を増やす(節税効果:中)
- 税額控除を増やす(節税効果:大)
コメント