中古マンションを土地・建物に按分する方法をコチラの記事で解説しました。

不動産投資の初心者はこちらの記事から読んでね。
さらに、建物を建物本体と付帯設備に按分して減価償却費を計上できれば、合法的に減価償却費を増やし、税金をコントロールできるようになります。
建物本体と付帯設備は、耐用年数が異なるからです。
今回の記事は減価償却費の応用編です。
中古マンション本体を建物本体と付帯設備に分ける方法を4ステップで解説します。
減価償却費の計算 ステップ1:建物と設備に按分する
土地600万円、建物400万円、設備100万円といった具合に、不動産売買契約書に記載があるなら、土地・建物・設備はそれに従って按分します。
ですが、中古マンションの売買契約書は各価格の記載がなく、セットで「○○万円」と記載されています。
このようなとき、土地と建物一式は固定資産評価額を使って案分するのが一般的です。
詳細『税務署も脱帽!中古マンションの価格を土地・建物に按分計算する方法』
建物と設備は固定資産評価額と償却率を使って按分します。
計算方法は全日本不動産協会のHPに記載があるので、そちらを参照してください。
ボクもこの方法に近い計算式で建物と設備に案分し、減価償却費を多く取って確定申告している案件がありますが、今のところ税務署からの指摘はありません。
また、建物:設備=7:3を超えなければ、税務署から指摘されないという意見もあるようですが、根拠はありません。
『サラリーマンの区分マンション投資 | 不動産所得の減価償却費の書き方』
減価償却費の計算 ステップ2:耐用年数を計算する
減価償却費を計算するためには、耐用年数を計算しなくてはなりません。
耐用年数(たいようねんすう)とは、(会計上で)建物・備品の価値がゼロになる年数のことです。
例えば、鉄筋コンクリートの新築区分マンションの耐用年数は47年です。
減価償却費の計算に使う中古マンションの条件はこうです。
- 土地:600万円
- 建物本体:400万円
- 付帯設備:100万円
- 築年数:10年
中古マンションの建物の耐用年数は、次の計算式を利用します。
=47年-築年数+(築年数×0.2)
=47-10+(10×0.2)
=39年
中古マンションの設備の耐用年数は、次の計算式を利用します。
=15年-築年数+(築年数×0.2)
=15-10+(10×0.2)
=7年
こう計算する理由はコチラの記事で。
『5分で達人級!中古マンションの減価償却費の計算方法を不動産投資家が解説』
減価償却費の計算 ステップ3:耐用年数から償却率を調べる
国税庁の発表している減価償却資産の償却率表によると、39年の耐用年数の償却率は0.026で、7年の耐用年数の償却率は0.143です。
減価償却費の計算 ステップ4:取得価格に償却率をかける
建物・設備の取得価格に償却率をかけあわせて、減価償却費を計算します。
=建物の取得価格×償却率
=400万円×0.026
=10.4万円
=建物の取得価格×償却率
=100万円×0.143
=14.3万円
この中古マンションの減価償却費は24.7万円と計算できました。
ついでに「建物を建物本体と付帯設備に按分しない場合の減価償却費」と比較して終わりとしましょう。
建物と設備に按分しない場合の減価償却費
建物の取得価格は500万円ですので、償却率をかけてこのように計算します。
=建物の取得価格×償却率
=500万円×0.026
=13万円
- 建物と設備に按分したときの減価償却費
=24.7万円 - 建物と設備に按分しないときの減価償却費
=13万円
建物と設備に按分した方が、減価償却費が11.7万円(24.7-13)も多く経費が計上できるため、節税効果は高く見えます。
しかし実際は、建物と設備に分けて減価償却しても、節税できる税額はさほど変わりません。
ときに、マイナスになることすらあります。
関連『不動産は建物と設備に分けて減価償却すると節税できる!は本当か』
まとめ
建物と設備に分けて減価償却費を計算する方法を、4ステップで解説するよこうだよ。
前回の記事『税務署も脱帽!中古マンションの価格を土地・建物に按分計算する方法』が分かれば、この記事は楽勝だよね。