中古マンションの売買契約書の価格は、土地と建物で分けて表記されることはまれで、一式で「いくら」となっています。
しかし、減価償却費や譲渡所得を計算する上では、土地建物の割合がいくらなのか分からないことには先に進みません。
つまり、マンションの価格から土地建物の価格に按分する作業が必要となるのです。
国税庁のHPでは、土地建物の按分方法を3例示しています。
- 譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
- 相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
- 土地、建物の原価を基にした按分
国税庁「課税標準」より
このことからも、土地建物に按分する絶対的なルールはないことが分かります。
ただ、サラリーマン大家であるボクたちが、中古マンションの時価や原価を導き出すのは困難です。
おのずと、最後に残る「相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分」が、後で税務署と揉めないための合理的な按分方法となります。
本記事は、固定資産税評価額(固定資産評価証明書の評価額)を使って、中古マンションの価格を土地建物に按分する方法を解説します。
中古マンションの土地建物按分計算は固定資産評価証明書を使う
固定資産評価証明書とは、国が定めた固定資産評価基準に基づいて評価された証明書のことです。
固定資産評価証明書の評価額(以下、評価額)は、その不動産の土地建物に課税される固定資産税の根拠となっています。
評価額は一定ではなく、3年に1回見直されます。

つまり、2018年→2021年→2024年…ってことだね。
<固定資産評価証明書の記載内容>
- 土地
所有者の住所・氏名、土地の所在地、地目、地積、評価額、共有土地の持ち分 - 家屋(マンションの建物のこと)
所有者の住所・氏名、家屋の所在地、部屋番号、種類、構造、床面積、評価額

本記事はボクが所有する大阪市中央区の区分マンションの固定資産税評価証明書を利用するよ。
中古マンションの土地建物の評価額を計算する方法
土地と建物、それぞれの評価額の計算方法を解説します。
土地の評価額を計算する方法
中古マンションの固定資産評価証明書(土地)を見てください。
※上図の赤四角が固定資産評価証明書の見るべきところ
土地の評価額は97,178,000円です。
しかし、これは中古マンション全体の土地評価額ですので、ここから自分の土地評価額を計算しなくてはなりません。
次は、固定資産評価証明書(土地)の備考欄を見ます。
共有土地の持ち分は2,726/195,800と記載されています。
つまり、自分の土地評価額は、中古マンション全体の土地評価額に、共有土地の持ち分を掛け算して、1,352,948円ということになります。
=全体の土地評価額×共有土地の持ち分
=97,178,000円×(2,726/195,800)
=1,352,948円
建物(家屋)の評価額を計算する方法
次は、中古マンションの固定資産評価証明書(家屋)を見てください。
※上図の赤四角は固定資産評価証明書の見るべきところ
この中古マンションの建物評価額は2,719,000円です。
中古マンションの土地建物の按分割合を計算する方法
中古マンションの土地建物の按分割合はこう計算します。
=土地の評価額 ÷ 土地建物の評価額
=1,352,948 ÷ (1,352,948+2,719,000)
=0.332 → 33.2%
=建物の評価額 ÷ 土地建物の評価額
=2,719,000 ÷ (1,352,948+2,719,000)
=0.668 → 66.8%
この中古マンションの土地建物の按分割合は、土地33.2%と建物66.8%と計算できました。
『サラリーマンの区分マンション投資 | 不動産所得の減価償却費の書き方』
中古マンションの価格を土地建物に按分する方法
中古マンションの価格を土地建物に按分する方法は簡単です!
中古マンションの価格と先ほど計算した土地建物の按分割合を掛け算するだけだからです。
中古マンションの価格が1000万円だったなら、土地と建物の価格はこう計算します。
- 土地価格=3,320,000円
(1000万円×33.2%) - 建物価格=6,680,000円
(1000万円×66.8%)
『5分で達人級!中古マンションの減価償却費の計算方法を7ステップで』
まとめ
中古マンションの価格を土地建物に按分する方法はマスターできたかな?
今回は大阪市の固定資産税評価証明書を使ったけど、市町村によって微妙に様式が違うよ。
でも、見るところは同じだから、この記事を参考にしてくれたらOKだよ。
中古マンションの価格を土地建物に按分するは3ステップでOK!
- 固定資産税評価証明書を使って、土地建物の評価額を計算する
- 土地建物の按分割合を計算する
- 価格と土地建物割合を掛け算する