質問です!
不動産価格の高い?安い?は、どう判断していますか?
表面利回りを比較してるぜ!
取引事例を調べてるよん!
どれも、相場感を養うにはいい方法ですが、不動産の持つ本当の価値(収益性や資産性)は、これらの方法ではわかりません。
区分マンションの査定には、さまざまな要素が絡みます。
一般的には、立地、築年数、専有面積、設備などが評価され、その結果によって物件の価格が決まります。
しかし、これだけでは不十分であり、収益還元法という手法を使うことでより正確な査定を行うことができます。
収益還元法とは、物件の収益性や資産性を見込んで現在の価値を算出する手法です。
具体的には、家賃収入、運営費、還元利回り(キャップレート)などを考慮し、将来的な収益を予測し、それを現在価値に換算して物件の価格を算出します。
この記事では、不動産投資歴10年超の現役サラリーマン大家『プロフィール』が、収益還元法を使った区分マンションの査定方法を詳しく解説します。
不動産業者から提案された区分マンションの価格が適正なのか知りたい購入希望者から、売却を検討している方まで、ぜひ参考にしてください。
では、始めましょう。
不動産投資の収益還元法とは?
不動産の価値を計算するためには、収益還元法という手法があります。
この手法は、その不動産が生み出すネット利益(NOI)を還元利回り(キャップレート)で割ることで、その不動産の価格を算出します。
つまり、ネット利益と還元利回りの値さえわかれば、計算は簡単に行うことができます。
それによって、不動産の正確な価値を知ることができるのです。
=ネット利益 ÷ 還元利回り
いきなり難解な用語が出てきてしまいました。
今からフォローしますので、ページを閉じないでください。
ネット利益(NOI)=収益性
ネット利益(NOI:Net Operating Income)とは、相場家賃からランニングコストを引いた利益のことです。
『NOI(ネット利益)に注目!マンション投資で得られる純利益とは?』
還元利回り(キャップレート)=資産性
還元利回りとは投資家が期待する利回りのことです。
キャップレート(Capitalization Rate)ともいわれています。
収益還元法を使うに当たって難しいこと。それは還元利回りの決定です。
なぜなら、還元利回りは計算式で算出するものではなく、立地・築年数・融資など、多くの要素により決定されるからです。
還元利回り (キャップレート) |
低い | 高い |
---|---|---|
立地 | 都心 駅近 |
地方 駅遠 |
築年数 | 築浅 | 築古 |
融資条件 | 良い | 悪い |
多くの場合、還元利回りは周辺の似ている物件の取引事例や期待利回りを参考にして決定します。
日本不動産研究所の「第46回不動産投資家調査」の期待利回りのデータを引用すると、このとおりです。
エリア | 期待利回り |
---|---|
東京(城南) | 4.0% |
札幌 | 5.3% |
仙台 | 5.3% |
横浜 | 4.5% |
名古屋 | 4.8% |
京都 | 5.0% |
大阪 | 4.6% |
神戸 | 5.0% |
広島 | 5.5% |
福岡 | 5.0% |
不動産の価値を収益還元法で計算してみよう!
あなたはこの条件のワンルームマンション投資を検討しています。
- 東京都内 某駅徒歩5分
- 1Kタイプ 専有面積25㎡
- 価格:2000万円
- 年間相場家賃:120万円
- 入居率:95%
- ランニングコスト:20万円
はたして、2000万円という価格は妥当なのでしょうか?
このワンルームマンションの価値を収益還元法で計算してみましょう。
周辺の不動産の取引事例やエリア特性から、還元利回りは4.0%程度であることが分かりました。
=ネット利益 ÷ 還元利回り
=(120万円×95%-20万円)÷ 4.0%
=2350万円
価格2000万円に対して収益還元価格2350万円ですので、この不動産の価格はバーゲンプライスであることがわかります。
突然ですが、ここで残念なお知らせがあります。
銀行の物件の査定方法は「積算評価」であることが多いことです。
この査定方法はワンルーム投資に不利ですので、「ワンルームマンションに価値があるにもかかわらずローン金額が伸びない」という悲劇がしばしば起こるのです。
『結果に泣いた!区分マンションの積算価格(担保評価)を計算してみた』
それを回避する方法のひとつに、GA technologies 、日本財託など、多くの提携銀行を持っている不動産会社の紹介で物件を購入する方法があります。
大手不動産投資会社の信用力も加味されているのか、物件価格の100%のローンが使える可能性を秘めています。
最後に、還元利回り(キャップレート)に関する誤解を正して終わりとしたいと思います。
よくある不動産投資の還元利回り(キャップレート)の間違い
不動産投資の還元利回り(キャップレート)に関して、よくある誤解があります。
それは、利回りを単純に比較して、「還元利回りが高ければ高いほどよい」と考えることです。
確かに、還元利回りが高ければ高いほど魅力的に思えますが、注意すべきことは「還元利回りが高いということはリスクも高い可能性がある」ということです。
それは、リスクとリターンはトレードオフの関係にあるからです。
つまり、高いリターンを得るためには、それに見合う高いリスクを背負わなければならないということです。
『エクセルで不動産投資を勝ち抜く!全期間利回り(IRR)の正しい算出方法』
東京と地方が同じ還元利回りであるはずがありません。
東京は地方に比べてインフラが圧倒的に整っており、コンパクトで便利だからです。
『ワンルーム投資の高利回りに騙されるな!リスクを知って失敗しない投資をしよう』
リスクを抑えた不動産投資を行いたいなら、還元利回りが安定しているエリア(もしくは低下するエリア)、つまり都心の不動産に投資するべきです。
還元利回りが安定しているということは、値崩れするリスクが低いということです。
言い換えれば、購入価格と売却価格に大きな差がないのです。
都心ワンルーム投資については、こちらの記事にまとめています。
人気『リノシー資料請求した?失敗しない不動産投資の理由がココにあった!』
不動産投資の収益還元法のまとめ
収益還元法とは、ネット利益(収益性)を還元利回り(資産性)で割り戻して計算する方法だったね。
- ネット利益は家賃からランニングコストを引いて求める。
- 還元利回りは取引事例から決定する。
収益還元法を使えば、物件のの収益性と資産性をトータルで判断できるんだ。
でも、物件の状態、立地条件、市場の需要と供給など、多くの要素が価格に影響を与えるから、評価する際には注意が必要だよ。
そして、還元利回りが高いと物件価格が安くなるけど、それは投資のリスクが高いということ。
反対に、還元利回りが低いと物件価格が高くなるけど、それは投資のリスクが低いということ。
これを忘れないでね。
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