不動産投資の初心者がつまづきやすいこと。
それは「正しい経費の計上」です。
不動産投資にかかわる支出は経費にできるのが原則ですが、原則に従わない例外もあるからです。
そのひとつがローン返済です。
ローン返済は「元金返済」と「利息返済」の総和である
「元金返済」と「利息返済」について解説します。
あなたは、次の条件の融資を受けました。
- 金額:1000万円
- 金利:2.5%
- 期間:25年
- 返済方式:元利均等返済
元利均等返済とは?
ローン返済が一定のローン返済方式のことです。
利息と元金の返済割合が毎月変わります。
元金均等返済とは?
ローン返済が減少するローン返済方式のことです。
元金返済は一定ですが、利息返済が減っていきます。
この融資条件の1年間のローン返済は約54万円(毎月44861円)ですが、ローン返済の内訳はこうなっています。
- 元金返済=約29万円
- 利息返済=約25万円
ローンの繰り上げ返済を実行したときは、元金返済に充当されます。
『その繰り上げ返済 ワンルームマンション投資に必要ですか?』
ローン返済で経費にできるのは利息だけである
ローン返済をすると、年間54万円の現金(貯金)が出ていくことになりますが、全額必要経費にできません。
なぜなら、元金返済は費用(経費)にすることが認められていないからです。(理由は後で解説)
本年の確定申告で経費にできるのは、利息返済分の25万円のみです。
利息返済が経費にできる理由
ローンの利息返済が経費にできる理由。
それは、利息は投資家が余計に支払う費用だからです。

銀行さん。
今から乱暴な言い方するけど、ごめんね。
投資家は銀行に対して25年間で1345万円の返済が必要です。
しかし、投資家目線では1000万円が正当な支払いで、345万円は余計な費用なのです。
銀行目線では利息返済345万円が銀行の利益で、1000万円は融資金額を回収したにすぎません。
『不動産投資家・業者・銀行のリスク&リターンを比較!残念な現実が赤裸々に』
元金返済が経費にできない理由
元金返済はどこへ行くのか?経費にできない理由は?という疑問がわいてきますよね?
その答えは「元金返済は負債(元金残高)の減少にあてられる」です。
ローン返済開始直後、負債は1000万円ありました。
ローンを返済していく間に負債がどんどん減少し、25年後には負債がゼロになるのです。
ローン返済は地味ですが、資産を拡大するには最適の手段です。
関連『繰り上げ返済し倒せ!ワンルーム投資でビッグになりたいなら』
利息返済も経費にできない例外規定
不動産所得が赤字のときは、土地を取得するために組んだローンの利息返済も経費にできません。
ただし、経費にできない土地の利息は不動産所得の赤字額を上限とします。
不動産所得の損失(赤字)の金額があるときは、他の所得の金額(黒字)と差引計算(損益通算)を行うことになっています。
ただし、不動産所得の金額の損失のうち、次に掲げる損失の金額は、損益通算の対象となりません。(中略)
- 不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額
国税庁「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」より

えっ?どういうことなん?
何のこっちゃサッパリやわ。

不動産は土地と建物に分かれていることは知っているよね。
その土地を買うためにローンを組んだ場合、その部分は利息返済であっても○△■…。

…。(睡眠学習)

図で解説するね。
実務『会計freeeの使い方 | 不動産投資のローン返済(元金・利息)の帳簿付け』

具体例を出すとこう!
土地:建物=40:60の不動産に対して銀行融資を受け、不動産所得15万円の赤字が発生した
- 元金返済=約29万円
- 利息返済=約25万円
土地利息10万円(25×0.4)は経費にできませんが、 建物利息15万円(25×0.6)は経費にできます。
ただし、不動産所得の赤字が6万円だった場合、6万円を超える金額4万円は経費にできます。
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まとめ
ローン返済は「利息返済」と「元金返済」に分かれているよ。
そのうち、経費にできるのは「利息返済」のみで、「元金返済」は負債の減少にかかわっているよ。
ただし、不動産所得が赤字のときは「土地部分の利息返済」も経費にできないんだ。
だから、ローンを借りすぎると、不動産所得が赤字になっていても全く節税できなかったりもするよ。