あなたの言うキャッシュフローとは、税引き前キャッシュフローですか?
それとも、税引き後キャッシュフローですか?
不動産投資において、収益の評価指標であるキャッシュフローを計算する際には、税金を考慮した「税引き後キャッシュフロー」を算出することが必要不可欠です。
しかしながら、この計算方法を知らない不動産投資家も多く、実際に税引き後キャッシュフローを計算していないことが原因で、不動産投資に失敗するケースが散見されます。
本記事では、税引き後キャッシュフローとは何なのか?
その計算方法、計算がしない場合のリスクについて、不動産投資歴10年超の筆者(プロフィール)が解説します。
不動産投資を始めたビギナーから、既に数件不動産を所有しているベテランまで必見の内容です。
大家失格にならないためにも、税引き後キャッシュフローの計算方法をしっかりとマスターしましょう。
準備はいいですか?
税引き前キャッシュフローの復習から始めますよ!
不動産投資の税引き前キャッシュフローの計算方法
ここがわからないことには、後に解説する税引き後キャッシュフローの計算は全く理解できません。まずはウォーミングアップから始めましょう!
あなたは年収700万の独身サラリーマン投資家です。
こんなワンルームマンションの投資を検討しています。
- 価格:1000万円
- 家賃:72万円
- 運営費:18万円
- ローン返済金(元金):12万円
- ローン返済金(利息):18万円
- 減価償却費:25万円
※収入と支出は年間ベース
このワンルームマンションの税引き前キャッシュフローを計算してみましょう。
=[家賃]-[ランニングコスト+ローン返済額]
=[72万円]-[18万円+36万円]
=18万円
ここでいうランニングコストとは、管理委託手数料、管理費・修繕積立金、固定資産税・都市計画税のことを指します。
『知らなきゃ損!マンション経営でかかる運営費(ランニングコスト)の正体』
税引き前キャッシュフローの計算方法は、コチラの記事で詳しく解説しています。不動産投資の初心者はコチラからどうぞ。
『不動産投資の大損を回避!ワンルームマンションのキャッシュフロー計算方法』
さあ、本番です。
税引き後キャッシュフローを計算してみましょう!
不動産投資の税引き後キャッシュフローの計算方法
意外にも、税引き後キャッシュフローの計算は簡単です!
税引き前キャッシュフローから「不動産所得に関わる税金」を引くだけでOKなのです。
=[税引き前キャッシュフロー(BTCF)]-[不動産所得に関わる税金]
不動産所得に関わる税金は、不動産所得に税率をかければOKです。
=[不動産所得]×[税率]
パニックになりそうなあなたは、こちらの記事を参照してください。
『「不動産投資で節税は嘘」と言う前に知っておきたい税金の真実とは?』
だから、不動産所得に関わる税金を計算するためには、不動産所得と税率を調べる必要があります。
不動産所得の計算方法
先ほどのワンルームマンションの不動産所得は、このように計算できます。
=[家賃]-[運営費+ローン返済金(利息)+減価償却費]
=[72万円]-[18万円+18万円+25万円]
=11万円
「不動産所得の計算方法」はコチラの記事で解説中。
『キャッシュフローと不動産所得の違いを知って、成功の秘訣を手に入れよう!』
税率の確認方法
税率は課税所得金額(略して所得という)によって異なります。
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
年収700万のサラリーマンの所得を計算すると約370万円です。
税率は(上表から)30%だということがわかります。
しつこいですが、分からないあなたはこちらの記事へ!
『「不動産投資で節税は嘘」と言う前に知っておきたい税金の真実とは?』
不動産所得に関わる税金の計算方法
不動産所得と税率が判明しました!
不動産所得に関わる税金はこのように計算できます。
=不動産所得×税率
=11万円×30%
=3.3万円
税引き後キャッシュフローの計算
不動産所得に関わる税金がわかったので、税引き後キャッシュフローを計算しましょう。
=[税引き前キャッシュフロー]-[不動産所得に関わる税金]
=18万円-3.3万円
=14.7万円
ついにやりましたね!
税引き前キャッシュフロー18万円に対して、税引き後キャッシュフローは14.7万円と計算できました。
余談ですが、不動産投資の初心者は、キャッシュフローがプラスの物件を確実に積み上げていかなくては、後で痛い目をみます。
お気を付けください。
『ワンルーム投資で破産回避!初心者が知るべきマイナスキャッシュフローの恐怖と回避策』
税引き後キャッシュフローを計算しないリスク
税引き後キャッシュフローの計算ができない投資家には、大きなリスクがのしかかります。
例えば、今回のキャッシュフロー計算実例では、税引前と税引き後で3.3万円の差がありました。
たった3.3万円かもしれませんが、不動産投資は右肩下がりのビジネスモデルであるため、少しずつ収益は下がっていきます。
その一方、不動産投資の税金は増加する傾向にあります。
特にデッドクロス後は顕著です。
このような事実を知らずに、税引き後キャッシュフローを計算せずに、投資規模を拡大していくと、行き詰まる日がやってきます。
手元に残る利益が思ったよりも少ないことが判明し、ローン返済ができなくなるリスクに直面するからです。
また、税引き後キャッシュフローを計算しないことで、節税の機会を失います。
節税の機会を逃してしまうことは、余計な負担を背負うことにもつながります。
税引き後キャッシュフローを把握することで、不動産投資リスクを減らし、投資家として成功するための基盤を築くことができるのです。
不動産投資の税引き後キャッシュフローのまとめ
税引き後キャッシュフロー計算の大切さがわかったかな?
キャッシュフローは、税金を考慮しない税引き前キャッシュフローと、税金を考慮する税引き後キャッシュフローの2種類があるよ。
一般的なのは前者だけど、大切なのは後者の税引き後キャッシュフローだよ。
税引き後キャッシュフローは4ステップで計算できるよ。
- 税引き前キャッシュフローを計算する。
- 不動産所得と税率を確認する。
- 不動産所得に関わる税金を計算する。
- 税引き前キャッシュフローから不動産所得に関わる税金を引く。
不動産投資を始める前に、この指標をしっかりと把握することで、不動産投資においてのリスクを減らし、投資家として成功するための基盤を築くことができるんだよ。
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