関西では、安いは正義です。
しかし、長期保有を前提としたワンルームマンション投資に限っては、安すぎる修繕積立金はリスクを伴うので注意が必要です。
なぜでしょうか?
修繕積立金は、その名の通り建物の修繕を目的として積み立てるモノ。つまり貯金です。
貯金がなくなると、修繕不能で建物の劣化が止まらなくなり、最終的にマンションのスラム化が起こるからです。
ただ、高すぎる修繕積立金は負担以外の何物でもありません。
使い道がなければ、貯金が貯まるだけで非効率だからです。
この記事を読むことで、ワンルームマンションの修繕積立金の相場観が身につきます。
では、始めましょう。
修繕積立金とは?
修繕積立金とは、屋上防水、外壁塗装、給排水管の取り換えなど、多額の費用がかかる修繕(大規模修繕)のために準備しておくマンションの貯金のことです。
大規模修繕に備えて、各部屋の投資家(オーナー)が毎月定額を積み立てるのです。
ここで質問です。
ワンルームマンション投資はアパート投資と比べると、修繕積立金(&管理費)のせいで、ランニングコスト(運営費)が異様に高いと聞いたことがありませんか?
これはチョットした誤解です。
なぜなら、アパート投資には修繕積立金はありませんが、修繕積立金相当額を自主的に積み立てる必要があるからです。
大規模修繕に向かってどのくらい積み立てるかどうか。
アパート投資は投資家が判断できますが、積立金が十分でない場合は、建物劣化が止まらず空室率上昇&賃料低下するでしょう。
最悪の場合はスラム化を覚悟しなくてはなりません。
要するに、修繕積立金を積み立てるシステムがあるか(ワンルーム投資)、ないか(アパート投資)の違いなのです。
詳しくはコチラの記事にて
詳細『ワンルームマンション投資は儲からない?バカ扱いする前に知るべき4つの事実』
ワンルームマンションの修繕積立金の相場
結論からいうと、ワンルームマンションの修繕積立金には、マンション価格のような相場はありません。
なぜなら、マンションは個別性が高く、価格のように相場を形成できるものではないからです。
実際、ボクが所有するワンルームマンションの修繕積立金は月額40円/㎡~250円/㎡で、かなりのブレがあります。
では、なぜこんなに違うのでしょうか?
ワンルームマンションの修繕積立金の決定要素
ワンルームマンションの修繕積立金は、築年数・規模(室数)・専有面積のバラツキ加減で異なります。
築年数
ワンルームマンションは、古くなるにつれて修繕積立金は増えていきます。
なぜなら、年月とともに建物は劣化し、修繕コストもかかるようになるからです。
規模(室数)
ワンルームマンションは20室~100室くらいの規模のモノが多いですが、修繕積立金は室数増加に伴って、安くなる傾向にあります。
なぜなら、100室あるからといって20室の5倍修繕費用がかかるわけではなく、規模の拡大につれ修繕費用は相対的に安くなるからです。
専有面積のバラツキ加減
修繕積立金は次の式で計算されるため、専有面積が小さい部屋は修繕積立金も安くなります。
もし、専有面積の大きいファミリータイプ多数混在のマンションの場合、専有面積の小さいワンルームタイプの修繕積立金は安くなります。
実際、ボクが所有する築古マンションのひとつは「修繕積立金=2700円(113円/㎡)」であり、まさしくこのパターンです。
新築マンションの修繕積立金は安い。でも喜んではいられない
ここからはネガティブな話です。
新築ワンルームマンション業者は、何が何でも物件を完売しなくてはなりません。
では、完売できるワンルームマンションとは、どのような物件でしょうか?
それは、節税効果がありそうに見えたり、生命保険・年金代わりになりそうだったり、ランニングコストが安い物件でしょう。
実際、ランニングコストの安さを演出するため、新築ワンルームマンションの修繕積立金は安めに設定されています。
このような感じにです。
修繕積立金(円) | 専有面積(㎡) | 修繕積立金/㎡ |
---|---|---|
1000 | 28 | 36 |
1800 | 24 | 75 |
これは、ボクが購入した築浅ワンルームマンション(2001年築と2007年築)で、(おそらく)新築時から一度も修繕積立金が変更されていない物件群です。
このような安い修繕積立金の物件は、大規模修繕を行えば、ほぼ全ての貯金を使い果たすことになるでしょう。
さあ、次の大規模修繕に向けて、修繕積立金を値上げしなくはなりませんね。
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築古マンションの修繕積立金は高い
安めに設定された新築マンションの修繕積立金でも、購入時に支払った修繕積立準備金が活用できます。だから、たいてい1回目の大規模修繕はギリギリ行えます。
しかし、2回目の大規模修繕は、1回目より多くの費用がかかります。
それを乗り越えようと思えば、修繕積立金の値上げは必然なのです。
では、2回目以降の大規模修繕を乗り切った築古マンションは、どのくらいの修繕積立金が徴収されていたのでしょうか?
ボクが購入した築古ワンルームマンション(1981年築~1987年築)は、このような感じになっています。
修繕積立金(円) | 専有面積(㎡) | 修繕積立金/㎡ |
---|---|---|
3500 | 15 | 233 |
4000 | 16 | 250 |
専有面積が小さいので、修繕積立金は月額3000円~4000円程度で済んでいますが、専有面積が20㎡を超えてくる物件だと、修繕積立金は月額5000円を超えるでしょう。
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国土交通省のマンション修繕積立金ガイドライン
最後に、2011年に発表された「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)」について、少し触れておきます。
このガイドラインによると、
投資用マンションの多くは15階未満であるため、月額218円/㎡(165円~250円/㎡)が修繕積立金の目安となります。
実際、ボクが所有する築古マンションの修繕積立金は、月額110円~250円/㎡ですので、多くのマンションはこのガイドラインを目安としていると考えられます。
あなたのワンルームマンションの修繕積立金も、月額220円/㎡へ向けて調整されていくのではないでしょうか。
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修繕積立金のまとめ
オレのワンルームマンションの修繕積立金は安いぜ! ヨッシャーと喜んではいられない理由がわかったかな。
ワンルームマンションの修繕積立金は、新築時が最安値で、徐々に値上げされるのが普通だからだよ。
1回目の値上げは、1回目の大規模修繕後くらいが多いかな?
ワンルームマンションの修繕積立金には相場はないけど、国土交通省のガイドライン(月額165円~250円/㎡)を意識しているようだね。